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五年ほど前のことだ。

「心境の変化ともいうんでしょうか。それまで福祉にはほとんど関心はなかったんですが、第二の人生を考える年が近づいてふと、ヘルパー養成研修でも受講してみようかな、という気になりましてね。最初は何かの役に立てばといった程度の軽い気持ちだったんですが、その後さわやか福祉財団主催のリーダー研修会に参加したところ、堀田理事長の基調講演や参加者のみなさんの熱気に感銘を受けまして、自分たちの地域にも市民団体をつくりたい、という夢を持つようになったんです」

定年になっても家でじっとしていられるタイプではないと自らを分析する和田さんは、意識的か無意識かはわからないが、第二の人生を懸けられる生きがい探しをしていたのかもしれない。それだけに目標が定まってからの行動は速かった。会社を退職して、二名の仲間と共に設立準備を開始。既に活動している他団体の状況を聞きに行き、それを基に設立趣意書を作成したり、行政や社会福祉協議会へのあいさつ回りなどを経て、約五か月後には団体を立ち上げたのだった。

「団体新設の際に一番のネックとなるのは資金繰りですが、小・中学校時代の友人で事業をやっていた者が事務所を無償提供してくれるなど、財政面での協力・支援を買って出てくれたので助かりました。会員集めに関しては、「泉北たすけあい」の佐藤秀次会長より“知り合いを無理に誘うな”とのアドバイスをいただいたこともあって、ゼロからのスタートとなりましたが、地元のミニコミ誌に団体新設の記事を掲載してもらったところ、思いがけないほど反響がありましてね。おかげで、何とか十三名の会員でスタートを切ることができました」

 

 

 

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