制度の基本は「本人」 堀田力
Sさんは、よく頑張った。しっかり者だから一人でやれたが、誰もがやれることではない。
実はそこが大問題なのであって、介護保険制度は、本人がケアプランを立てるのが原則で、それができない時ケアマネジャーに頼むというのが建前である。ところが、現実には、手続きもあまりに煩雑で、情報も不十分、事業者も本人には不親切ということで、特別な人でない限り、ケアマネジャーに頼まざるを得ない実態になっている。
しかし、それでは、事業者に雇われているケアマネジャーが、利用者の囲い込みをする弊害を防げないだろう。
手読きの簡便化や、十分な情報提供を求めながら、本人によるプラン作成と契約締結の事例を増やしていくことにより、「利用者本人のための介護保険制度」を実現していきたい。
(財団法人さわやか福祉財団理事長)