巻頭言 No.32
ふれあい切符と地域通貨
●さわやか福祉財団理事長 堀田力
ふれあい切符の地域通貨性
最近、北海道栗山町の「クリン」や、滋賀県草津市の「おうみ」などが報道され、地域通貨への関心が出始めた。ふれあい切符(時間預託)も、地域通貨の一種である。
通貨の基本的機能は、交換の媒介(売り買いなど)であるが、ふれあい切符も、提供したサービスと将来提供を受けるサービスとの交換を媒介するものだから、通貨である。
しかし、国の通貨と違って、国や国が認めた銀行(日本銀行)が発行するものではなく、国の信用を担保に日本国内における強制運用力を持つものでもない。地域の民間の組織が発行し、その地域の仲間の間の信頼関係に基づいて使われるものである。
地域通貨の種類と国の通貨
通貨の基本的機能である交換の媒介(お金で売り買いする)機能についていえば、国の通貨は、交換可能なすべてのモノ及びサービスの交換を媒介するのに対し、地域通貨による交換の対象は、限定される。まず、一定の地域内の交換に限定されるし、対象についても、モノを含む地域通貨もあるが(千葉県のピーナツ、アメリカのイサカアワー、スイスのヴィア銀行、カナダのトロントダラーなど)、サービスに限るのが多数派で、そのうち、サービスの種類を特に限定しないもの(関前村のだんだん、イギリスなどのレッツ、アメリカのタイムダラー、イタリアの時間銀行など)と、生活援助的サービスに限定するもの(多くのふれあい切符)とがある。