本誌で昨年4月から「当世高齢事情」を執筆中の、公証人として活躍する著者が、毎日新聞に「こころの絆(現代遺言事情)」として1年1か月にわたって連載したものに加筆して発刊された。著作権は日本公証人連合会に譲られている。遺産をめぐる争いを未然に防ぐ遺言、特に公正証書遺言を知る上で大変参考になる。遺言公正証書の作成費用、計算方法などもわかりやすく説明してあり、実用面でも役立つ一冊。
「長男に全財産を譲り、その代わり妻の老後のめんどう一切を見させる、という伝統的な意識に支えられた遺言から、長い間苦楽を共にし誠実に尽くしてくれた妻(または夫)に対し、自分の死後、長く安心して生活していけるように配慮した遺言。それが残される者への本当の愛であり、その愛のメッセージこそが遺言の本質であろう。」(本書 第二章「自分の「思い」を形にするということ」より抜粋)
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