以上のように実施された研究は当初予定のとおりに進められ、計画した研究成果をあげることができた。
研究成果の要旨を各項別にまとめると次のようになる。
1] メガフロート用の空港用装置は課題になっていた低頭拘束型係留装置、管制塔構造、鋼板上の舗装、等々について、実証実験、設計検討などにより、実用化の目処をつけることが出来た。
2] 空港機能シミュレーション技術では、シミュレーターでの利用に適した浮体挙動シミュレーションプログラムを作成し、浮体空港モデルにより正しいことを検証した。
3] 着陸用計器の研究では、浮体モデル上に設置した計器着陸装置、進入角指示灯の信号をチェッカー機で計測し、良好との評価を得、通常の気象・海象条件では問題の無い事を実証した。また、2]の空港シミュレーション技術の成果を組込んで、大型機のシミュレーターで着陸シミュレーションを行い、計器着陸が可能な事を確認した。パイロットの感触はばらつきがあるが、殆どが台風時以外は問題ないとした。
4] 航空機による実証実験では、小型機による離着陸を繰返し行い、通常の気象・海象条件では離着陸はもとより、浮体挙動、騒音、振動等も問題の無い事を実証した。パイロットの意見では陸上の離着陸と変わりないとの事であった。また、挙動、騒音、振動等の予測プログラムを離着陸時に検証し、正確なシミュレーションを可能にした。
5] 環境影響調査研究では、気体層による付着生物防止装置の開発を行い、その有効性を確認した。
1.4.1 空港用装置の研究開発
(1) 空港用浮体設計技術の研究 (10年、11年、12年)
超大型浮体の構造を設計するあたり、より迅速に且つ精度良く計画や解析を行う手法を種々検討し、整備した。
1] 超大型構造物に適した新しい解析法を比較検討し、夫々の解析法の特徴を整理した。
2] 疲労寿命の評価法を整備した。
3] 動揺対策など空港機能を満足させるための手法を開発した。
4] 工作精度に関連する設計法の留意点について取りまとめた。
(2) 低頭拘束型係留装置の研究 (10年、11年、12年)
浮体空港用として航空機の離着陸を阻害しない性能を確保する必要がある。この目的を満たす、低頭拘束型の係留装置を開発した。そのために波漂流力の算定法や、弾性応答への影響を加味した設計法、フェンダークリアランスがドルフィンに与える影響などを検討した。これを実験用の空港モデルに適用して計算結果の検証を行い、設計法の妥当性を確認した。
(3) 浮体上の管制塔構造の開発 (10年、11年)
管制塔の構造についてはフェーズIでも検討し、利用可能な見通しを得ていたが、フェーズ2では、更に、浮体上の管制塔の試設計を行って具体的に性能を確認した。弾性挙動の影響を受ける浮体上に建設した管制塔の応答特性を計算し、陸上の管制塔との比較評価を行って、同等の性能を確保できる事を確認した。
(4) 鋼製浮体上の舗装仕様の研究 (10年、11年、12年)
既存の舗装に関する諸規準を調査整理し、浮体上の舗装及び舗装下構造の考え方をまとめ設計手法を確立した。また、弾性挙動をしている鋼飯と舗装の合成構造としての効果を検討し、効果の期待できる限界を明らかにした。更に舗装仕様が鋼鈑に及ぼす影響についても検討した。