5] 最高年齢
全体でみると、中位数は「450万円以上500万円未満」にあって、45歳から動いていない。ただし、二極化は一層進み、並数階層は「600万円以上」になっていることが大きな特徴である。低い方のグループにおいては45歳から54、5歳の間で賃金カーブが頭打ちになるような賃金構造をとる施設が多いのかもしれない。
施設の種類別にみると、「知的障害児施設」及び「養護老人ホーム」が高い金額のグループを形成しており、特に「知的障害児施設」では「600万円以上」が全施設の60.9%と他の施設に比べ突出して高い。一方、低い金額のグループは「特別養護老人ホーム」が中心である。
施設の規模別では規模階層間の差はあまりみられない。また、設立後年数別でみても年数階層間の差がややあるものの、それほど大きなものではない。
なお、最高年齢については、その年齢も調査している。それによれば全施設平均で53.9歳となっているが、施設の種類別でみたときほとんどが50歳代半ばであるのに対し、「知的障害児施設」が48.6歳と飛び抜けて低いのが目に付く。
「特別養護老人ホーム」に限ってみると、中位数は「450万円以上500万円未満」にあり、全施設と同じになった。しかしながら全施設から「特別養護老人ホーム」を除いてみると、ピークは「600万円以上」になる。「450万円以上500万円未満」をピークとして高い金額への分布が少ない「特別養護老人ホーム」は、高年齢では賃金面ではそれ以外の施設とは異なった分布になっている。「特別養護老人ホーム」の昇給カーブは50歳代半ば以前から、かなり頭打ちになっている施設が多いということであろうか。なお、平均年齢についてみると、施設設立後年数別で「5年未満」が非常に低いが、これには27.0歳という最小値が大きく影響しているのであろう。
参考として民間の標準労働者の年収を推定したもの及び国の福祉職俸給表における制度値で年収を推計したものを掲げた。(参考「標準労働者の年収(試算)、福祉職俸給表適用者の制度年齢による年収(試算)」参照)
前提となる種々の要件が違うので、単純に本調査の結果をそれらと比較するのは危険であるが、あえていえば、本調査の結果は全事業所の従業員と比べるとかなり下回っている。比較的近い規模の「10〜99人」事業所の従業員と比較すると、おおまかにいって男性の高校卒又は短大卒と比べると低く、女性の高校卒と短大卒の間という位置にあるように思われる。さらに、国の福祉職俸給表の制度値で推計した年収額と比較すると、45歳までは概ね均衡しているが、最高年齢では全体的に見て国を大きく下回っているように思われる。特に「特別養護老人ホーム」は他の施設よりも水準が低い傾向にあるのでその差は大きい。45歳を過ぎると早い段階で昇給カーブが頭打ちになる施設が多いということであろうか。この中で「知的障害児施設」及び「養護老人ホーム」、特に「知的障害児施設」は採用時から50歳代半ばまで国の制度線に近い水準を保っているように思われる。
なお、「特別養護老人ホーム」について、各年代における金額階層の中位階層を示したものが第1図である。さらに第2図は各年代における平均値を推計したものである。「特別養護老人ホーム」については、早い段階から賃金カーブが抑制気味であることが窺われる。(第47表参照)