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総集編

 

日米独仏英加6ヵ国の国際比較

民間からみた21世紀に期待される公務員像

 

I まえがき

 

この調査研究は、2年間にわたる日本財団の補助により、1999年度から2年間にわたり、先進6ヵ国(G7諸国から実態がよく分からないイタリアを除く)の国家公務員を主な対象に、「民間からみた21世紀に期待される公務員像」を模索したものである。そのために、まずはこの分野の有識者6名からなる研究委員会を設け、調査研究の進め方を審議し、専ら「国際版調査票」を手掛かりに、現地面接調査を行う方針を決定した。初年度の1999年秋にはイギリス、ドイツ、フランスの順に現地面接調査を行い、その結果はすでに2000年3月に報告書(1)として発表した。

翌2000年には、まずアメリカ、カナダの両国における現地面接調査を行ったのち、わが国においては一層詳細な調査を行うべく、改めて「国内版調査票」を策定し、国内各界の有識者232人に回答をお願いした。この調査票は、回答するには技術的に相当難しい内容のものではあったが、最終的には125人から回答が寄せられた。回答率は53.9%と高かったのは、いかにこの種の調査に国民の関心が寄せられているかを感じた次第であった。

なおカナダにおける現地調査の過程で、1997年から98年にかけて、この国の民間を中心とした各界有識者によって、「市民第一(Citizens First)」と銘打つ大規模な研究が行われ、すでにその結果が公表されていることを知った。すぐさまその要点を、国内調査に活用したのであった。

さて、21世紀当初における各国の国政に関する最大の課題の一つは、半世紀振りに高まった公務員制度改革の動きであろう。それは第2次世界大戦の終結を契機に、西欧先進諸国が一斉に指向した福祉国家建設の構想が、20世紀後半になって財政的に暗礁に乗り上げたからであった。

 

 

 

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