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そのうえ、(社)経済団体連合会国際経済本部の斎藤仁北米グループ長、日本労働組合総連合会の渡辺ひな子国際局次長の両氏を通じ、カナダにおける関係団体の紹介をいただいた。このように事前に一応の基礎知識を得たことは、今回の現地調査の大きな助けになった。ここに改めてこれらの方々に対して厚くお礼を申し上げ、以下の現地調査の内容を飾ることにしたいと考える。

現地とのコンタクトは、2000年春に始まり、5月末までにカナダ中央人事行政機関に一応の連絡は取れたが、少なくとも二つの難問に逢着した。第1は、何はさておき最新情報の不足であった。すでに1985年前後からカナダ連邦政府は、いわゆる「新しい行政管理(NPM)」の線に沿い、公務員の在り方に関して抜本的な見直しを行ったことは、手持ちの文献などから分かっていた。しかしその後の詳しい改革の内容や、改革の痛みをどのように処理したかなど、不明な点が多々あった。とくにたまたま筆者は1995年2月、アルバータ州のバンフ・センターを訪れ、カナダにおける行政の課題を論じたことがあったが、それ以降の情報は極端に少なかった。第2は、現地調査の時期選択であった。筆者は所属する国連国際人事委員会のスケジュールの関係から、調査は8月上・中旬に行うしかなかった。しかしその時期は、たまたまカナダでは長期夏季休暇の時期に当たるところから、事前のコンタクトに対しても確かな返事を得ることは少なかった。こうした困難を抱えてはいたものの、現地調査は下記の要領で行われた。

 

現地調査の概要(カナダ)

目的:カナダ連邦政府職員に対する国(市)民の評価と期待を調べ、「21世紀における公務員像」を探求する。

日時:2000年8月6日、ニューヨーク経由首都オタワ着:翌7日から15日に渉る9日間に面接調査

2000年8月15日、オタワ発、翌日ニューヨークより帰国

方法:所定の国際版チェックリストを使い、現地における民間有識者に個別面接したうえで、21世紀の公務員像について期待のほどを聴取する。そのうえでカナダ市民全体の意見をまとめる。

担当:田代空(日本人事行政研究所理事)

菊入敏夫(日本人事行政研究所研究部長)

 

2 現地調査の準備

 

今回の現地調査で最も憂慮したのは、面接の対象者をいかに人選し、どのようにして面接のアポイントメントをとるかであった。しかも調査の目的が「民間からみた公務員に対する期待」であるために、在外公館への援助要請は極力遠慮した。

 

 

 

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