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・全般的にみて、特定の政府サービスの質は、一般的に見た政府のサービス全体よりも高い評価を得ている。こうしたサービス間の評価の違いが明確ではないために、これまでは政府のサービスに対して実際とは違った低い評価しか得られなかった。

・市民は、政府は民間部門より一層難しい役割、つまり能率と公共の利益とのバランスをとるという役割を担っていることを理解している。しかし市民はさらに、政府サービスの質が民間部門のサービスよりも、「高い」か「より高い」ことを期待している。

・サービスの質に対する市民の評価は、まずは五つの要素によって決まる。すなわち、即時対応(timeliness)、職員の知識と能力(knowledge and competence of staff)、親切な態度(courtesy/comfort)、公平な取り扱い、(fair treatment)、結果の良否(outcome)の5項目である。これらのサービス推進要素のすべてが揃った場合、市民は政府のサービスに対して、0〜100のスケールで80より高い評価をする。どの要素の一つでも実績が初期の水準以下の場合、サービスの評価は著しく低下する。最高評価の獲得の妨げになるのは、何はともあれ、政府は必ずしも市民が希望する結果を保障できないことである。市民に現実的な期待を持たせることは、こうした状況の下では重要な課題である。

・「電話が繋がらない」、「ボイス・メールは難しい」、「電話帳はあまり役にたたない」などの電話に関する問題は、市民が政府のサービスを受けようとする場合における最も頻繁に起こる障害である。

・ただ一つの政府のサービスを受けるために、数多くの政府官署に行かねばならないことは、証明書、免許証、登記の取得の場合に最もよく起こる。この種のことは、就職、大学入学の際の転出、結婚、家族の死去、移転など、人生の転機に際して発生することが多いのである。

・市民は時宜を得たサービスに関して、測定可能な期待値を持っている。"市民第一"の報告書は、電話、窓口サービス、郵便、eメールの4種類の通常連絡サービス手段に対して、特定の基準に言及している。

・市民は各レベルの政府サービスに対して、次のような改善期待の順序を付けている。

市町村レベル:保健、道路改修、公共学校

地域レベル:病院、大学(colleges and universities)

連邦レベル:雇用保健、カナダ雇用センター、司法制度、カナダ蔵入庁、カナダ郵便、カナダ年金/老人保障

 

これらの結論は、まことに楽天的な発想に墓づくものである。とはいえ、サービスの質を現在の60台の低さから、80台かそれ以上に引き上げる手段が得られたわけでもある。各レベルの政府は、これらの結果を使って、それぞれの行動戦略と前途の見通しを立てることが出来るのである。

 

第2は、連邦政府はこのところNPMの線に沿い、「小さな政府」を目指しているが、カナダ政府の雇用概念は、わが国の場合とかなり違う点に注目したい。すなわちカナダ政府の「雇用」には、わが国のように単に長期常勤雇用者だけではなく、任期付雇用者、短時間雇用者、臨時雇用者、季節的雇用者など、多種多様な雇用形態の職員が含まれている。もちろんこうした非常勤雇用者の人数(マンパワー)計算に当たっては、一定算式を使って常勤職員に換算するのである。一例を示すと、次表のとおりである。(注3)

さらにこの表を一見すると、まずは過去10年間に52,000人余(-22.2%)の人員削減が断行されたことが判る。

 

 

 

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