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ただし、司法部門は9.5%、郵政公社は9.4実を増員しており、行政部門でみると、司法省、連邦危機管理庁とパナマ運河委員会を除いて、各機関は大幅に減員している。その中でも、もっとも減員に成功したのは、冷戦終結を受けた国防省で、総人員は24.8%の減、とくに軍は、陸軍が約28万名から22万名、海軍は29万名から20万名、空軍も20万名から17万名など補給部門も含め、93万6,731名から70万1,742名へ実に23万4,989名、25.1%を削減した。

その他の機関も、実数でいえば、農務省が約2万名、退役軍人庁が約1万8,000名、連邦預金管理機構(RTCを含む)が65%に当たる約1万5,000名、内務省が約1万1,000名、人事管理庁自体が半数近い47.6%に当たる3,300名を減らした。

今回の調査で、面接対象者の多くが、この急激なダウンサイジングに言及しているのも、その衝撃の大きいことを示している。ただし、その評価は2分しており、ダウンサイジングにもかかわらず、業務を十分に遂行しているという回答者と、まだ余剰人員がいるという回答者に分かれる。しかし、いずれにせよ、レーガン政権に始まりクリントン政権で加速したダウンサイジング自体を批判する声は皆無だった。

 

3 クリントン政権による最近の改革

 

連邦政府予算の赤字解消を目的に、1993年に国家機能再検討プロジェクト(National Performance Review)を、ゴア副大統領を委員長として組織し、成績重視の点から職員への権限付与と無駄な業務の廃止を柱に、5年間で25万人以上の職員を削減し、1,080億ドルの経費削減を目標とした。その結果、1994年に連邦労働力再構築法が成立、27万2,000名の削減規模と2万5,000ドルまでの退職勧奨金支給を決めた。

一方、人事管理庁については、人事政策を分権化し、各機関に任用権限を委譲した。また、3分の1に当たる1,800名の要員を削減し、研修や調査の実施部門を民営化した。現在(1998年3月)の人員は3,593名である。

この結果、連邦政府の人事管理関係機関は、次のような相互に独立した部門で構成されることになった。第一に各省庁・機関が個別の人事管理を所管する。大統領府にはホワイトハウススタッフと行政管理予算局がその権限で行政部門全体の管理機能を持っている。第二に、大統領直属の機関として人事管理庁と政府倫理庁がある。第三に、行政委員会及び第三者的組織としてメリット・システム保護委員会と、雇用機会均等委員会、それに連邦労使関係庁がある。第四に、議会の機関として会計検査院GAOがある。

 

4 アメリカ公務員制度の特徴

 

日本や欧州諸国との比較でいえば、アメリカ公務員制度の著しい特徴の一つは、公務員の社会的威信の問題である。

 

 

 

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