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(2) 継続雇用者の賃金体系について調査した結果、「定年前と同じ体系」は「勤務延長」では26.1%と3割に近い割合なのに対し、「再雇用」では0.5%と1%に満たない割合となっており、制度による差がはっきり現れている。「勤務延長」はいったん退職ということでなく、引き続き雇用されるということから、賃金体系についても変更せず、定年前と同じ体系で処遇していくということであろうか。一方、再雇用は一度退職した後に改めて雇用契約を結ぶということから、それまでとは違う別途の賃金体系を適用することにしているということであろう。別体系の内容を複数回答でみると、「勤務延長」、「再雇用」とも傾向に差はないが、「再雇用」の方が全般的に該当する企業の割合が高いようである。「賞与は支給しない」は「勤務延長」が13.0%、「再雇用」が11.5%といずれも1割程度しかなく、賃金体系は変わっても賞与は支給する企業が多いようである。ただし、「賞与は支給するが支給率が一般職員よりも少ない」がそれぞれ43.5%、58.8%となっており、その支給率が低くなる企業の割合が半数前後の割合となっている。

 

第89表 継続雇用の賃金体系

1] 企業規模別

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5. 継続雇用を行わない理由〔第91・92表参照

ここまで定年退職後の継続雇用の導入状況、内容をみてきたが、第81・82表で明らかなように、13.2%の企業では継続雇用制度を「導入しない」としている。その理由を複数回答で尋ねたところ、「経営を取り巻く状況が厳しく、その余裕がない」が40.6%と最も高く、長引く景気の低迷がこのようなところにも影響しているということが明らかとなった。そのほか、「処遇、ポストといった人事管理の面で問題がある」が28.1%、「賃金体系、退職給与の面で問題がある」が21.9%などと、継続雇用の導入に際してクリアしなければならない問題の多さも見受けられた。一方で、「企業グループ・関連会社で雇用するため必要性がない」が12.5%あるほか、「その他」の回答として、「既に65歳定年制を導入済み」といったものもあり、継続雇用制度を導入しなくても年金支給開始までの雇用は確保されている企業も若干ではあるが含まれている。

 

 

 

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