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2] 産業別

全体として回答の多かったのは「自分の処遇に不満がある」、「独立して起業する」、「会社の退職勧奨に応じた」で、「処遇の不満」は「農林漁業、鉱業、建設業」の76.7%、「卸売・小売業、飲食店」の63.6%が高く、「独立して起業」では「卸売・小売業、飲食店」の59.1%、「電気・ガス・熱供給・水道業、サービス業」の37.5%が続く。また、「退職勧奨による」では「農林漁業、鉱業、建設業」の33.3%、「電気・ガス・熱供給・水道業、サービス業」の31.3%などである。また、「農林漁業、鉱業、建設業」で「もっと家族との時間を大切にしたい」が退職理由であると回答した企業が30.0%あるのが特に目につく。大きな要因としてはやはり「会社の退職勧奨に応じた」が多くなっている。

 

4. 近年における常用雇用者の採用状況

景気の回復が遅々として進まない状況の下において、企業は常用雇用者の採用には慎重な姿勢で臨んでおり、新規学卒者の採用も抑え気味で、人員が必要なときは給与費が固定経費とならない派遣社員やパート等の非常用の従業員を雇うことが多くなっている。一方、即戦力が期待される中途採用を重視する企業も多くなっている。業務の中枢を担う人材の確保も企業にとっては将来を左右する重大な問題であるので、今回の調査では企業のここ数年における常用雇用者の採用状況も調べた。

(1) 常用雇用者の採用方法〔第11・12表参照

いわゆる正社員の採用方法としては、従来は新規学卒者を一括して採用するのが普通であったが、技術革新や事業のグローバル化などの急激な進展に伴いこれらの知識、能力を持つ者を採用し即戦力とするため中途採用が活発になってきた。調査の結果にもこれがはっきり現れている。

「新規学卒者を対象として一括採用のみ」と回答した企業が36.9%と半数を大きく下回っているのに対し、「新規学卒者の採用が中心だが中途採用もする」は59.0%であった。なお、「新卒採用よりもむしろ中途採用に重点を置いている」は3.1%のみで、企業の半数は新卒採用と中途採用を併用していることが分かるが、比重としてはまだ新卒採用にウエイトを置いているように見受けられる。

ア. 企業規模別

「5千人以上」の企業では「新卒採用のみ」の回答18.2%に対し「新卒採用と中途採用」が79.5%もあり、採用方針の柔軟性がうかがえる。その他の規模では「新卒採用のみ」の回答は40%前後、「新卒採用と中途採用」が50%台で大きな差はみられない。ただ、「千人未満」の企業では「中途採用重点」の回答が5.2%と平均よりやや高くなっている。

イ. 産業別

産業別にみると業種により採用方針に違いがあるようである。「製造業」は「新卒採用と中途採用」が69.0%に対し「新卒採用のみ」は27.7%であるが、「農林漁業、鉱業、建設業」、「運輸・通信業」、「金融・保険業、不動産業」はともに「新卒採用のみ」の回答が50%を超え、「新卒採用と中途採用」より高い数値となっている。また、「電気・ガス・熱供給・水道業・サービス業」は「新卒採用と中途採用」が68.8%、「中途採用重点」が6.3%と中途採用のウエイトが高くなっている。

 

 

 

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