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3. 考察

 

今回のタンク内状況調査により以下のことが判明した。

 

1] 船首に近いタンクには、船首尾方向の釣合を取る為水が入っていた。

2] 1番真水兼バラストタンク及び2番真水兼バラストタンクとその上の第1下部船倉に水が入っていた。

3] バルジ内のタンクには現状は何も入っていない。

4] 機関室内のタンクについては、ほとんど調査出来ない状態だった。

 

バルジ内のタンクについては中に何も入っていない状態である為、仮にバルジ側部外板に破孔が生じても、油などの流出と言う事態は起らない。

また、船内のタンクについても、チェックできた限りでは、油が入っているような様子は見られ無かった。今回チェックできなかった機関室内のタンクについて、一抹の不安は残るが、機関室内のタンクの側部にはバルジがあるので、そこが1次バリアーとなり流出は食い止められると思われる。仮にバルジの無い底部に破孔が生じたとしても、内容物が油であれば、比重の関係から外へ流出することはないと思われる。

 

唯一、今回の調査結果で注意を要すると思われるのは、1番及び2番真水兼バラストタンクと第1下部船倉内の水である。タンクの前後の位置関係からして、トリム修正用と考えられるが、二重底タンク内のみならず第1下部船倉内にも水が入っているのは、通常考えられないことである。

船倉内の雰囲気が常にウエットとなり腐食の原因となるほか、船内に自由表面を持つ液体があることは、船の動揺特性にも大きな影響を与える。

幸い本船は係留船であり動揺特性が大きな問題になることは無いと思われるが、腐食に関して構造部材に与える影響を考慮すると、少なくとも第1下部船倉内は排水しドライな状態をつくるのが望ましい。仮に排水してトリムに影響が出るようであれば、その分固定バラストを積むなど、代替手段はいくつか考えられるので、それが問題になることはない。

 

 

 

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