2. 推進システムと浮上・潜航システムの進化
潜水艦の潜航・浮上は、メイン・バラスト・タンク(以下MBT)への海水の出し入れで行うのですが、潜航中の艦のバランスを保つなどのために、その他にもいくつかの補助タンクが設けられています。トリムタンクは潜航中の艦の釣り合いをとるもので、たとえば魚雷(ぎょらい)発射後に軽くなった前部には注水して調整します。ネガティブ・タンクは潜航の補助をするもので、浮上中満水にしておきます。MBTに海水を入れると浮力ゼロの状態となりますが、ネガティブ・タンクの量が加算されると艦は沈み始めます。そして全没後に高圧空気で排水します。各MBTの頂部にはベント弁が設けられており、開閉は油圧か人力で行われます。潜航の時にはこのベント弁を開きMBT内の空気を放出します。放出後に弁は閉鎖されスプリングの力でこれを保持しています。MBTの底部にはフラッド・ホールと呼ぶ穴が開けてあり、海水はここから出入りします。なお燃料タンクを兼用するタンクのフラッド・ホールには弁があり、これをフラッド弁といいます。浮上の時は、まず潜望鏡(せんぼうきょう)深度まで上昇して周囲の状況を確認します。続いてシュノーケル装置をあげ主吸気弁を開いて艦内気圧を大気と均圧にします。次にMBTに高圧空を放出して排水し、主機を起動させ低圧排水という順を追って浮上する仕組みになっています。