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No.18/36

 

海の安全I

 

不幸にして海難が発生した場合に備え、船舶には救命設備と呼ばれるものが取り付けられていますが、その開発には長い歴史と貴重な経験が生かされています。客船“タイタニック”が、1912年(大正元)にニューファウンドランド沖で氷山と衝突、沈没した事故の犠牲者はなんと1,490名にもなりました。原因として、“タイタニック”の最大搭載(とうさい)人員3,500名に対し、備え付けられていた救命艇(てい)はわずか16隻(せき)、しかも約1,170名分の収容能力しかなかったことが挙げられました。このことはその後の救命設備の設置において重要な教訓となりました。翌1913年(大正2)には船舶の施設に対する国際的な協定の必要性から、海上における人命安全会議が開かれ、1914年(大正3)、SOLAS条約(Safety of Life at Sea: SOLAS)が世界13カ国で調印されました。この条約では救命設備に関する規則が定められ、今日に至るまで数回の改訂(かいてい)が行われています。また、第二次世界大戦後、海運における国際秩序の確立と海上における人命及び財産の安全確保のために国際協力の必要性が認められ、1958年(昭和33)、その専門機関である政府間海事協議機関(IMCO)が活動を始め、1982年(昭和57)にその名称を国際海事機関(IMO)とし今日に至っています。

 

1. 救命艇

かつては木製や銅製、アルミ製などが中心だった救命艇は現在ではFRP(Fiber Reinforced Plastics:ガラス繊維(せんい)強化プラスチック)製のものが主流となっています。その中には非常用食料や飲料水、海中に落下すると同時に緊急信号を発信する自動無線発信装置(ラジオブイ)などを備えており、1週間以上の漂流に耐えることができます。

 

救命筏搭載品

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艤装品

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