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若い人たちは非常に皮肉な状況に置かれています。若者がコンピュータの前に、自己の利益を最大にするよう一人で座っているというのは悪夢のような状況だと思います。

このような種類の、一人ひとりが孤立して自分の利益のみを追求するような個人主義にとっては、小谷さんが言われた「自律」、自己を律することが非常に重要だと思います。かなりの自律がないと何時間も一人でコンピュータの前に座っていられないでしょうし、それ自体大変だと思いますが、そうすることで人間関係がうまくいかなくなっているのです。

自律というのは倫理的な文脈の中で意味があると思うのですが、アメリカでも世界のどこでも、今日の若い人たちはそういった人間関係ということがよくわかっていないと思います。私としてはあまり悲観的になりたくはありませんが、それでも急進的な孤立した個人主義は結局自己を破壊してしまう。うまくいかないと思います。人々は不安を増大させ、そして頭痛が増え、胃痛が増え、幸せに生きることはできないでしょう。

アメリカの統計でそういった数字も出ています。各世代では若い世代のほうが社会的な接触を失ってきています。急進的な個人主義というのは自己破壊的ですから、これを維持することはできません。

 

 

 

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