にもかかわらず、二百七十年経った今日でも、石田梅岩が石門心学を講舎で説いた頃から何も進歩していない、あるいは私たち企業人の身についていないということは、本当に悲しいことだと思います。
先ほどもベラー先生が、二十一世紀において、私たち企業人は社会にどのような貢献ができるのか、また二十一世紀の社会は、今までと同じような経済成長一辺倒ではなく、その答えは、日本や東アジアの先人が説いた中に、社会のあり方、また経済社会のあり方を示唆するものを見出していくべきではないかということをおっしゃいました。後ほどまた話をさせていただきますが、今の日本は、使い捨て文明、つまりたくさんの物資を湯水のように使うことが経済のパイを大きくすることだと言って、ひたすら大量生産、大量消費型の経済システムを推奨してきました。そういうものを、梅岩が説いたように、また「足るを知る」ということとも矛盾のないような新しい経済の仕組みに、私たちが変えていかなければならないと思います。