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皮肉なことに、この世界観は現在アメリカが他のすべての国々に受け入れるよう強要しているものと非常に似ています。グローバリゼーションは抵抗しても仕方のない必然的なプロセスのように受け止められています。

グローバリゼーションの最も強力な擁護者の一人であるトーマス・フリードマンは、「金色の拘束服」の話をしています。これは世界市場に参加するための多少厳しい要件のことで、この要件に従えば、あとで「金色の」結果を生むというものです。この観点からすると、ヨーロッパ、あるいは東アジアの国々が「人間の顔をもった資本主義」をつくろうとした努力は必ず失敗するということになってしまいます。ヨーロッパの福祉国家は解体するはずです。また終身雇用制、長期的な取引関係、年功序列制の賃金など、日本の昔からの伝統は捨て去られるに違いありません。さらに利益の低い部門への投資は削減されるでしょう。

 

 

 

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