記念講演
心学と二十一世紀の日本
カリフォルニア大学バークレー校名誉教授 ロバート・N・ベラー
はじめに
本日このシンポジウムに出席し、そしてこれほどたくさんの方々、これほど多様な方々がいらっしゃる場所でご挨拶できることは、私にとりまして大きな栄誉です。また、すでに現役を引退している今、およそ五十年前の石田梅岩と心学運動の始まりについて博士論文を書いていた時代に戻れることは、大変感動的なことでもあります。私の博士論文から生まれた本である『徳川時代の宗教』が西洋において、また同じくおそらく翻訳を通して日本においても、梅岩と心学がより知られるようになったことに貢献できたことを非常に嬉しく思っています。私は今でも梅岩と心学は、今日の私たちに多くのことを教示してくれると確信しています。