高齢化社会を迎えて
八木町 広瀬孝人
人間は年齢が高くなると、しだいに肉食を控えていきます。特に日本人にその傾向が強いように思われます。肉を控えるのは、体や心が肉類を食べたいと思わなくなってくるのでしょうか?
たしかに、肉は野菜と違って、油っぽく感じてたくさんは食べられなくなってはきます。
しかし、高齢者の中に時どきですが、「動物性のタンパク質や脂肪を食べないと体によくない」とお医者さんに言われたからと言って、店に肉を買いにこられる方があります。
近年になって特にそういうお客さまが増えてきました。
実は、私の母親は六十六才で亡くなりましたが、生前お肉はあまり好きではありませんでした。亡くなった後、担当医に、「動物性のタンパク質と脂肪が不足していたために、血管がやせて破れやすくなっていた。その為に、脳の中で血管が破裂して脳卒中を起したのですよ」と言われました。
先生はさらに、「倒れるまでに、その前兆があったはずです」ともおっしゃいました。そういえば、セキをした時、タンによく血がまじっていました。タンパク質や脂肪不足のため、血管が細くなり、血管壁がうすくなって、きつくセキをするとすぐ出血していたようなのです。私の店では肉を販売していますのに、「紺屋の白袴」だったのでしょうか。
現在では、脳梗塞も多くなっていますが、こういった体質の方にも適量の動物性タンパク質と脂肪は欠かせない大切な栄養素といわれています。
体の健康は、極端な考えを持たずに、自然の流れにそって、食べてみたいと思う時の適量の肉食は健康に役立つのだと考えてほしいと思います。お肉がにが手な方でも、いちど水たきして油ヌキしたあと、好みの味つけをした"角煮"や"しぐれ煮"にしますと食べやすくなります。
高齢化社会と言われて久しくなりますが、高齢者の皆さんはどうぞ長生きをされて、健康で楽しく、すばらしい人生を送っていただきたいと思います。
(ミートひろせ店長)