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ワークショップ 京都学園大学総合研究所…亀岡市

江戸時代の社会と文化における石門心学

 

■出席者■(敬称略・発言順)

(報告者)

川田耕(京都学園大学経済学部講師)

小嶋秀夫(京都学園大学人間文化学部教授)

(助言者)

R・N・ベラー(元ハーバード大学教授)

 

亀岡市の京都学園大学の総合研究所において、国立京都国際会館で開催された「心学開講二七〇年記念シンポジウム」の記念講演のため来日したR・N・ベラー氏(元ハーバード大学教授)を迎え、去る十月十六日午後一時三十分より、ワークショップが開かれた。約六十人の聴講者を前に、同大学の研究者や関係者らがベラー氏を囲んだ。

開会のあいさつの後、まず同大学の二人の研究者による研究報告が発表された。

最初の報告者は経済学部講師の川田耕氏。『石門心学にみる近代的人間像』というテーマで、近世において石門心学が民衆に示した新しい人間像が論じられた。その人間像とは、人間を道徳的主体として見なすものであり、自己と社会とにおける道徳的価値の実現を目指した。また、心学発展の理由として、社会の世俗化が背景にあったこと、心学の教えがこれまで広く民衆に共有されてきた世界観や人間像の延長線上に成り立つものであったことを示した。

続いて、人間文化学部教授の小嶋秀夫氏が『石門心学のアドバイザーが組み立てた子育て論』と題して報告を行った。自身と石門心学との関わり、我が国の近世における子育て論、さらに石門心学における子育てのアドバイスの特徴が述べられた。梅岩の後継者たちは子供に直接働きかけ、具体的な行動目標を提示しながら、行動主体である子供の自己意識の改革を訴えたと解説した。

コーヒー・ブレイクの後は、先の二人の報告を受けて、ベラー氏より発言があった。ベラー氏は、京都学園大学を訪れたこと、興味深い二つの研究報告へのコメントができることを「大変うれしい」と述べ、徳川期の文化と社会について広く考察したうえで、石門心学や石田梅岩の思想の位置づけについて検討していきたいと前置きした。

始めに、石門心学が広く民衆に支持された背景として、当時の特徴的な政策や宗教文化について説明がなされた。

 

 

 

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