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日本の京都において

心学開講二百七十周年記念シンポジウム

心学と二十一世紀の日本

 

ロバート・N・ベラー

 

本日このシンポジウムに出席し皆様にご挨拶できることは、私にとりまして大きな栄誉です。また、すでに現役を引退している今、およそ50年前の石田梅岩と心学運動の始まりについて博士論文を書いていた時代に戻れることは、大変感動的なことでもあります。また、私の博士論文から生まれた本『徳川時代の宗教』が、西洋においてまた同じく翻訳を通して日本においても、梅岩と心学がより知られることに貢献できたことを私は嬉しく思っております。今でも私は梅岩と心学は今日の私たちに多くのことを教示してくれると確信しております。

まず最初に梅岩自身のことについて少しお話ししたいと思います。徳川時代の鎖国は静止以外のなにものでもありませんでした。そして江戸時代の多くのものに見られた不安、動揺、興奮が、梅岩が生きた18世紀初頭ほど顕著だったことはありません。徳川幕府は抑圧的で、幕府に批判的であるとみなされた思想家や厳格さを欠くと考えられた倫理運動に時おり強い弾圧を加えました。しかし、徳川幕府は人々の自発的な社会的文化的創造力を厳密にコントロールする組織や意志を持っていませんでした。武士階級は高度な文化、特に儒教文化の伝達者を自認しており、また重要な知的貢献も果たしました。しかし、商人や農民の庶民階級の中でも、新しい考え方や感じ方はすでに生まれていました。このような刷新と実験の環境の中でなら、私たちは石田梅岩のような人物の生涯を理解することができます。

 

 

 

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