それから、戦略協議、いろんな話し合いを日本とやっていく。非常に歓迎すべきことだと思うんですが、岡崎さんも言われたように、要するにガイドラインを、つまりアメリカとしては、ここから床で、さらに上に積み上げていかなきゃ困るんだということで、それに対して集団的自衛権行使の問題に手をつけないと日本は動けないということだと、協議してくれるからありがたい、これで日米関係はさらに強化されるというよりは、問題がむしろまた出てくるような感じがするんですけれども、いかがでしょうか。
岡崎久彦 おっしゃるとおりでありまして、とにかく日本という国は、昔から日本の友人をがっかりさせるのが得意なんですよね。先方が好意的に何か日本にしてもらおうと思うと、がっかりさせると。これは非常に得意でありまして、せっかく日本のためを思っていろいろ言ってくれる人が、そのために何人、日本から去っていったかですね。これはほんとに過去の歴史が示しているんです。ただ、今度が最後のチャンスとは言いませんけれども、こういうジェネレーションはもう来ないですよ。レーガン・中曽根時代に、日米関係というのはあのころ、ジム・アワーが隠されたサクセス・ストーリーと言っていましたけど、実に日本の協力でもって極東の軍事バランスが逆転するんですね。だから、冷戦の勝利は、少なくとも極東では日本の力が非常にあるんです。それを知っている人が全部帰ってきますから、こういう人がまた帰ってくる時代というのがあと何十年あるかどうかわかりませんから、今度のチャンスに何とかしたいと思うんですけどね。
それで、集団的自衛権と申しましても、いろんな段階があるんです。話してよければちょっとお話ししますけれども、先々週、私の研究所でもってアメリカの学者7人と議論しまして、これは四、五年前にもやったんですけど、違うところは、全員がとにかく集団的自衛権を行使しなきゃだめだということを言ったと。それがまず第1。
それから、みんなよく知っていまして、具体的にこれをすればいい、あれをすればいいということを言うんですよ。その提案の1つは、武力行使と一体化という概念をやめろと。武力行使はしちゃいけない。それは憲法がそう言っているかどうかわかりませんけど、これはしちゃいけないと。それに加えて、武力行使と一体化するようなことをしてもいけないと、これが入っているんです。例えば、アメリカ兵が横で戦争していて、戦争している最中、「のどが渇いたから水をくれ」と言って、水をやると、これは武力行使と一体化になるんですね。これは非常にばかばかしいんですね。これは過去10年ぐらいに言ったことなので、もとはあるんですけれども、その前はあまり言っていなかったことなんですね。