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それも日本の、ひょっとすると海洋国家あるいは四方を海に囲まれているという非常に地理的な条件による日本の安全保障の進み方、ただ乗り論ということはありますけれども、アジアから見た場合に日本の安全保障政策の進め方は、さっき太田大使の言われたモデルにならないまでも、アジアのほうから見たら非常に強い関心のある安保政策というのがあり得るのではないかというふうに思っております。

以上です。

伊藤憲一(進行司会者) どうもありがとうございました。

それでは、畑さん、お願いします。

畑恵 太田先生、締めくくりにふさわしく、海洋国家日本のあるべき姿を明確にお示し頂き、ありがとうございました。私のような若輩が意見を述べさせて頂くのは恐縮なのですが、先般、参議院におけます「国際問題に関する調査会」の理事を拝命いたしましたので、そちらで日頃抱えています問題点と合わせて、いささかの意見と御質問をさせて頂ければと存じます。

この調査会で先月、河野外務大臣からミレニアム・サミットに関する報告を兼ねて国連への日本の貢献のあり方について御所見を伺い、質疑を行う機会がございました。私自身は常々、日本の国際貢献はいかにあるべきかを問う前に、そもそも日本の国はいかにあるべきか、ビジョンは何たるかをよくよく精査すべきで、それによって定まった座標軸ゼロの基点から世界を見遥かして初めて、日本から見て世界はこうあるべきだ、だからこれこれこのような国際貢献を行おうというロジックが組み立てられると考えています。

そこで大臣に、まず21世紀の日本における国家ビジョンをお示し頂いた上で、それに基づいた国際貢献ビジョンを語って頂きたいと御質問をいたしました。ただ残念ながら最終の質問者だった為、時間切れとなってしまい、十分なお答えを大臣から頂いたとは言えない状況で調査会は終了してしまったのですが、今日、太田先生がお話下さった御提言がまさしくその答えであったような気がしております。

先生のお言葉の通り、確かに日本はイコール欧米化ではない形で近代化を果たした稀有な国家であると思いますし、そうした近代化を可能にした様々な要素を今後も活かし更に昇華させて、20世紀の近代を超えた「超近代」という姿を世界に先駆けて提示して行くことが、21世紀に日本が日本として存続するためにも、また国際貢献という意味からも求められていると思います。

 

 

 

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