III:これまでの実績および今後の計画
1. 全体計画
本セミナーは、上記Iの問題意識を踏まえつつ、全体で4期4年度にわたる作業を想定している。事業全体については、読売新聞社の協賛をえて、随時その討論成果を同紙紙上に公表するとともに、とくに最終年度においては、同社の協賛および外務省および運輸省の後援により一般公開の大規模なシンポジウムを開催する。各年度の個別計画の内容の概略は、つぎのとおりである。
第1年度(1998年度)では、「日本のアイデンティティ:西洋でも東洋でもない日本」とのテーマのもとで、ユーラシア大陸の西端で近代化への胎動を開始し海洋への進出によって世界的覇権を樹立した西洋や、ユーラシア大陸の中央部で前近代文明の価値観に固執しつつ西洋に屈服した東洋との対比の中で、日本のアイデンティティをさぐる。
第2年度(1999年度)では、「21世紀日本の大戦略:島国から海洋国家へ」とのテーマのもとで、国際政治的、戦略論的観点から21世紀世界において日本の生きる道をさぐる。
第3年度(2000年度)では、「海洋国家日本の構想:世界秩序と地域秩序」とのテーマのもとで、日本のアイデンティティや大戦略に関する第1年度、第2年度の議論の内容を噛みしめつつ、21世紀を生きる日本の具体的なビジョンを提示し、その実現のための政策を提示する。
第4年度(2001年度)では、総合テーマ「海洋国家日本:その文明と戦略」のもとで、3期3年度にわたる討論の成果を500人程度の聴衆を対象とした一般公開のシンポジウムを通じて公表する。
2. 第1年度[1998年度]の実績
(1) テーマ
「日本のアイデンティティ:西洋でも東洋でもない日本」
(2) 実施内容
□ 第1回自由討論会合(1998年5月21日)
テーマ:「日本のアイデンティティ:アジアは一つか、日本は東洋の一部か」
問題提起者:西尾幹二 電気通信大学教授