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他国との友好関係、同盟関係、通商、貿易を通じて行われる広い文化交流など、他の国とのネットワーク、日本独自の情報のネットワークの構築によって我が国のソフトの面を強化することが、現代の日本が海洋国家を目指すために必要なことだと思います。そういう視点から、今日のテーマである海洋国家の歴史から何を学ぶか、ということを考えますと、先ほどの森本先生のお話にありました、インド洋貿易時代に既にできていたネットワークが実際にどのような仕組みであったのか、さらに詳しく知りたいと思いました。

伊藤意一(進行司会者) どうもありがとうございました。

それでは、山田さん、お願いします。

山田寛 森本先生の中でインドが海の民になったり陸の民になったりというふうなこと、それから伊藤理事長も言われ、それから櫻田さんも言われたように、やはり開かれたマインドでいるかどうかということが1つの海洋国家のポイントだと思いましたが、櫻田さんが言われたように今わりあい心配することはないんだというのは、僕もある意味では感じています。例えばこの間、国連の職員のガイダンスみたいなものがあって、たくさん大学院生が今、特に日本の国内の就職の問題もあるんでしょうけれども、参加していた。そういうところは、わりあい外を向いているのかなという気もしたんですが、僕は櫻田さんよりもちょっと悲観的なのは、マジョリティーのほうはどうなのか、今むしろ内向きになっているんじゃないかという感じがするんです。

1つは、総理府の外交に関する世論調査で、例えば経済協力について、この調査が始まってから20年ぐらいで「積極的にやれ」というのがいまが一番減っているわけです。もちろん今たくさんやっているから、それから経済的にぐあいが悪いからそうなんでしょうけれども、「とにかく減らせ」というのが今、一番多くなっているんです。

もう一つ、この間のいじめに関する子供たちの調査で、昔はいじめがあっても、「やめたまえ、君たち」と言う生徒がたくさんいた。ところが、この間の世論調査を見ると、要するに、自分に害が及ばないように見て見ぬふりをするのがいいんだというほうが非常に多いんです。昔はそんなことはなかったと思うんです。僕が子供のころもそんなことはなかった。今は一番増えているんじゃないかというふうな感じがするんです。

それで民のほうも心配なんですけれども、政府のほうも、僕は小渕前首相はかなり外に開かれた人だと思っていたが、亡くなってしまった。つまりこの間の21世紀懇談会にしても、さっき小池さんも言われたんですが、例えば英語第二公用語化などと言った人たちもいたっけなぐらいな感じで、あの21世紀懇のインパクトも終わってしまうのではないかと僕は心配をしているんですが。

 

 

 

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