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次に、日本発のビジネスプロセスの構築をすべきであるということ、これはどういうことかといいますと、先ほど申しましたように、何もしないでいると、残念ながら今の状況では、海外のコンペティターが日本に参入してくる可能性あるわけで、もちろんそういった企業とパートナー契約を結んでビジネスを行っていくということもあるでしょうが、ただどうしても海外の企業が出てきた段階で、日本側として、躊躇していると主導権を握れないということがあります。そういった意味で、むしろ日本側から逆に打って出るような、そういったサービスというものをいかに作れるかということだと思います。日本の標準を世界の標準に、とちょっと大それたことを書いておりますが、IT革命というのは、昨日の勝者は明日の敗者ということが言われるように、ダイナミックに変わっていく中でいつまでも同じ基準、行動規範ではやっていけないということです。従いまして日本の場合、90年代が失われた10年といわれるように、IT化の流れの中で若干遅れをとったところはあるわけでございますが、ただそれがこれからも続くかというと、いや、決してそうではない。すなわち、これから巻き返しを図れば日本主導でいろいろなネットワークを組んでいく、そういった可能性はあるわけでございます。

次に国際物流ノウハウを蓄積し、世界に輸出せよと書いてあるのは、何かといいますと、確かに日本市場はこれまでは右肩上がりで成長してきましたので、国内市場だけでもビジネスをやっていけるだけのマーケット規模はあったかと思いますが、ここにきて、日本企業が海外に製造拠点を移管していく、あるいは日本を外して第三国間の取引が増えていくという話になると、必ずしも今まで培ってきたビジネスモデルだけでは、これからの時代、非常に厳しい局面を迎えざるをえないと思うわけでございます。そうであるとするならば、いかにして日本の物流に携わる方々がそのノウハウを蓄積して、世界で通じる仕組みを作るかということだと思います。ある方は海外、アジアを中心に拠点を作って展開していくということもあるでしょうし、ある方はコンサルティング、あるいはコーディネイトということで、ソフトの面で進出されることもあるでしょうし、またあるところでは海外の企業を買収するという話もあるかもしれません。それは、各社、皆様方のポジションによって、そのアプローチの仕方は違うとは思いますが、いずれにしましても今の時代、海外、国内ということ自体がほとんど意味がなくなってきた。こういったボーダレスの時代において、いかに迅速に対応できる経営を、グローバルな枠組みの中で構築できるか、これがこれからのポイントになると、このように思っております。

時間が超過して恐縮でございますが、以上でご説明を終わらせていただきます。ご清聴、誠にありがとうございました。

 

 

 

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