(5) 労働条件の改善指導
船員の労働時間については、昭和63年の船員法改正により週40時間労働制の原則が明記されて以来、その実現に向け段階的に短縮が進められ、平成9年4月1日以降は、漁船を除く全ての船舶に週平均40時間労働制が適用されている。
また、指定漁船に乗り組む漁船員についても一層の労働条件の向上を図るため、平成13年4月1日から、操業中を除き週40時間労働制へ移行することとなっている。
このような状況下、当局管内の事業者の大多数は小規模零細事業者であり、その船舶に乗り組む船員の労働環境には厳しい状況が見受けられるので、これら事業者に対し労働条件の改善を進めることが海運・水産業界の健全な発展のため肝要であり、この労働条件の改善にあたって就業規則の審査(表4-9)等を通して、懇切・丁寧な指導及び監督を行っているところである。
(6) 船員に係る未払賃金の立替払制度について
1. 未払賃金の立替制度の創設
昭和51年7月1日から陸上労働者と同様に海上労働者である船員についても未払賃金制度が創設(導入)されている。
未払賃金の立替制度は、船舶所有者の事業が破産等の事由により倒産(事実上の倒産も含む。)したため、賃金が支払われないまま退職した船員に対して、その未払賃金の一定範囲について国が事業主に代わって支払う制度である。
また、この制度を利用することで、船員の生活の原資としての賃金が未払いとなることによる生活の破綻を防止し、船員の生活の安定に寄与するものである。
2. 立替払をする額
立替払をする額は、「未払賃金の総額」の100分の80です。ただし、「未払賃金の総額」には、退職日時点での船員の年齢により下記のとおり限度額が設けられている。