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2. 旅客航路

○ 旅客航路事業の概要

九州運輸局管内における旅客航路は、住民の足として、また生活必需物資の輪送手段としての重要な役割を果たす離島航路が多いことや、モーダルシフトの重要な担い手として全国的なネットワークを形成している長距離フェリー航路が発達していること等が大きな特色であるが、いずれも国民の生活に不可欠な公共交通機関としてきわめて重要な役割を果している。

管内における離島航路は104航路で旅客定期航路の72%にも達し、このうち壱岐、対馬、五島、甑島、種子島、屋久島、奄美群島の主要離島には全航路にフェリーが就航しており、地域振興に貢献している。その他の離島航路についても港湾整備の整ったところはフェリーが就航し、現在は船舶の大型化、高速化が推し進められ、着実に航路整備が図られている。しかし、一部の離島では過疎化、高齢化の進行による輸送需要の減少、あるいは燃料費等の経費の増大により航路経営の困難なところも多く、国庫及び地方公共団体による補助金の交付、運輸施設整備事業団との共有方式による船舶建造資金の融資などの措置によってその維持が図られている。

次に、九州を起終点とする長距離フェリーは10航路で全国の50%を占めている。これらの航路はいずれもモータリゼーションが進展するなかで、陸上交通機関のバイパス的役割として昭和43〜48年にかけて開設され、現在30隻の船舶が就航している。また、近年は輸送需要の増大や物流の効率化の進展、環境問題等に対応したモーダルシフトの推進により、大型化、高速化した船舶のリプレースが進んでいる。

旅客船についても長距離フェリーと同じく大型化、高速化が進み、迅速かつ、安全で快適な船旅が楽しめるよう改善がなされている。特に、高齢者や身体障害者、いわゆる移動制約者等に対して利用しやすいバリアフリー対応船舶の就航が好評を得ている。

なお、需給調整規制の廃止を柱とする海上運送法が平成12年10月1日から施行されたことに伴い、事業者間の競争が促進され、事業活動の効率化、活性化を通じた多様なサービスの提供等による利用者利便の向上等の効果が期待されている。

また、新たに離島等の地域住民の生活にとって必要不可欠な生活航路については、一定のサービス水準を確保するための制度(指定区間)が導入されたほか、12人以下の人の運送をする事業についても、安全の確保、利用者の保護を図るための措置が講じられている。

 

 

 

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