また、海上物流の分野では、在来貨物船にはない画期的な性能を持った超高速船テクノスーパーライナーの実用化についても支援して参ります。
地域物流については、都市内の交通渋滞の改善を図るとともに、自動車排気ガスによる環境負荷の軽減策の一つとして、共同集配システムの導入等、効率的な地域物流システムの構築について支援して参ります。特に、全国に先駆けて始められた天神地区共同集配事業や、平成11年10月から事業を開始した熊本地区共同集配事業の充実強化に向けて、貨物自動車駐車スペースの確保等の周辺環境整備にも努めて参りたいと考えております。
また、社会経済的に見て、今後九州地域において重点的に整備すべき物流拠点の整備が円滑に進むよう、その指針として物流拠点の機能類型別の整備目標、配置計画等について昨年3月に策定した「九州圏における物流拠点の整備ビジョン」に基づき、高度化物流機能の集積を図るため、鳥栖地区をはじめとした流通業務団地等の整備を支援するほか、地方自治体による物流についての総合的かつ計画的な取り組みである地域物流マネジメントについて参画し支授して参りたいと考えております。
平成13年度早々には、IT革命の進展、地球規模の環境問題の深刻化、循環型経済社会の構築等の観点を踏まえて、新たな「総合物流施策大綱」が策定される予定であることから、これを踏まえ九州・山口地域における物流の一層の効率化・高度化のための施策を講じて参りたいと考えております。
第4に、厳しい状況下にある造船・船員対策として、諸課題の取り組みを進めます。
激しい受注競争の影響から依然として船価の低迷が続いている中で、大手造船所間では国際競争力の強化を目指して、包括的な事業提携や業界再編に向けた具体的な動きが出てきており、九州運輸局としても、必要に応じ適切な措置を講じていくこととしております。中小造船所にあっては、内航船の建造需要の激減等から深刻な不況に陥っており、厳しい経営環境が続いております。中小造船業対策として、これまで5次にわたって構造改善事業を実施してきましたが、当該事業が本年3月で終了することから、新たに、中小企業経営革新支援法による経営基盤強化の支援の実施を予定しております。
さらに、海洋レジャーの健全な振興発展に向けて、九州・山口各地の水域管理者や関係団体などから構成する「舟艇利用対策連絡会議」を通じて、各種施策の実施にあたっての協調体制の構築、整備等を図って参ります。
一方、船員労働行政については、法定労働時間の遵守、船員災害の防止等のため、労働条件、労働環境改善等を推進するとともに船員の高齢化に歯止めを掛けるため若年船員を確保していく必要があります。このため、九州運輸局としても引き続き関係者等に対する指導に努めるとともに船員労務官による監査体制の強化を図り、魅力ある船員の職場環境の確立を支援して参りたいと考えております。
第5に、魅力ある九州をつくるため、観光の振興を図って参ります。
観光は、人々の生活にゆとりとうるおいを与えるとともに地域の経済と文化を活性化させ、地域振興に寄与するものであり、生産効果や雇用効果の面でも高い効果を持つものであります。特に、国際観光の分野において訪日外国人旅行者数を増やし、内外の交流を活発化することは、相互の国際的理解の増進を図るうえで極めて重要であるばかりでなく、国際親善ひいては国際平和にも貢献するものであります。観光産業に対しては21世紀の経済を牽引する基幹産業として期待が高まっているところであり、昨年12月の観光政策審議会答申「21世紀初頭における観光振興方策」では、我が国は21世紀初頭に向け、観光の振興を国づくりの柱に据えて、「触れあいと活力に満ちた観光交流大国日本」を目指して各種政策を推進していくことが求められています。
国際観光については、外客を倍増させるため「ウェルカムプラン21」の更なる促進を図るとともに、「外客誘致法」に基づく国際観光テーマ地区の整備については、九州7県が中心となった取り組みに協力し、九州各県の行う海外宣伝事業を積極的に支援して参ります。なお、2002年ワールドカップサッカー大会は、九州を世界にアピールする絶好の機会でありますので、開催を目前に控えた本年は、九州運輸局としてもこれを契機とした国際観光振興策を推進して参りたいと考えております。
国内観光については、地方公共団体等との連携により観光振興を推進し、地域観光の活性化に努めて参ります。特に、本年2月に予定されている南九州広域連携観光振興会議(南九州WAC21)の開催や九州テーマパーク等振興協議会の活動等を通じて、広域連携による観光振興とテーマパークを核とした観光振興を更に推進して参ります。
このほか九州運輸局としては、国内観光及び国際観光の促進のため、民間関係団体等が取り組む各種行事やシンポジウム等にも積極的に参画して参りたいと考えております。
第6に、輸送の安全の確保を強力に推進して参ります。
輸送の安全の確保は、運輸行政の基本であり、最重要課題であります。陸上においては、自動車運送事業者・鉄道事業者等に対し、事故の発生を防止するため、事故防止体制の強化を図るなど、安全に関する基本的事項の遵守を徹底するよう引き続き指導して参ります。