次に、都市圏における輸送力増強という観点からは、平成17年開業を目標年次とし現在建設工事が進められている福岡市の地下鉄3号線の整備や、JR篠栗線・筑豊本線吉塚〜黒崎間の電化高速化整備事業について、引き続き推進して参ります。また、都市機能の向上を目的に都市鉄道整備の事業化方策を検討する「都市鉄道調査」については、九州では「西鉄宮地岳線と福岡市地下鉄2号線の相互直通に関する調査」及び「洞海湾横断鉄道に関する調査」を行っておりましたが、平成12年度内に調査検討結果を取りまとめるべく、最終調整を進めて参ります。
都市バスについては、各県に設置した「バス活性化委員会」や「バス利用促進等総合対策事業」等を活用し、走行環境の改善、共通乗車カードシステム、超低床バス、コミュニティバスの導入、オムニバスタウン計画の整備、パークアンドバスライド等バス利用促進のための諸施策を更に推進して参りますとともに、ノンステップバスの導入促進等バリアフリー対策についても推進して参ります。
地域旅客輸送については、鉄道の近代化設備整備費補助制度、踏切保安設備整備費補助制度、地方バス路線維持費補助制度、離島航路補助制度、離島航路船舶近代化建造費補助制度等による支援策・維持方策に加えて、特に地域バスについては、需給調整規制の廃止にあたり、地方部を中心に生活交通の確保のための必要な措置等を協議する場として各県に設置を進めている「地域協議会」において、地域の実情に応じた生活交通の確保方策について具体的な協議を行って参ります。また、生活航路として重要な役割を担っている離島航路については、そのサービス水準の維持・向上を図るために改正法で新設された指定区間制度を的確に運用することにより、離島住民等の利用客の足を確保して参ります。
タクシーについては、高齢化の進展、障害者の社会参加のための手段として注目されている福祉タクシーをはじめとするニューサービスの導入を促進して参ります。事業者の中には、国の助成措置を受け導入したGPS-AVMシステムを利用して配車の効率性を向上させ、利用者サービスを図るなど、更なる事業の活性化・利便性の向上をめざす動きがありますが、タクシー事業は中小零細事業者が多く、一事業者の枠を超えた取り組みが求められているところであります。
第3に、産業を支える物流対策として、効率的かつクリーンな物流システムの構築を推進して参ります。
景気が長期にわたり低迷する一方で、グローバルな競争の進展、IT革命、国民の価値観の多様化、急速な少子高齢化等物流を取り巻く経済社会状況は大きく変わってきております。このような状況の下で、国民生活の質の向上を図り、大競争時代における産業活動の展開を支えていくためには円滑で利便性の高い物流システムの確保とその更なる効率化が求められております。このことは同時に日本経済再生のための最重要課題の一つと言って過言ではありません。また、CO2排出を抑制し、地球温暖化問題に対応するため、物流システムの効率化・クリーン化を図ることは、国際的かつ現実的な課題となっており、このためには物流システムにおけるCO2排出量等の抑制、エネルギー効率の向上等にも積極的に取り組む必要があります。
こうした状況の下、物流施策については、平成9年4月に閣議決定された「総合物流施策大綱」を踏まえ、九州地方総合物流施策推進会議において関係行政機関と連携していくとともに、物流施策を更に強力に推進するため、平成11年8月に改定された「運輸省物流施策アクションプラン」に基づき、高度化・多様化する利用者ニーズに対応しつつ、経済社会状況の変化に配慮した最適な物流システムの構築等について、様々な物流施策を推進して参ります。
まず、国際物流については、コンテナ船の大型化に対応した国際物流拠点としての港湾の物流機能の充実強化を図るため、中枢港湾としての博多港、北九州港、また中核港湾としての志布志港における大水深の国際海上コンテナターミナルの整備が進められておりますが、これと平行して、港湾物流のスピードアップ・効率化を図るために、港湾EDI等の港湾情報処理システムの拡充強化に向け支援して参ります。
広域物流においては、幹線道路の混雑緩和を図り、排気ガスによる環境への負荷がより小さな物流の実現に向け、内航海運や鉄道輸送の活用によるモーダルシフトが進展するよう「九州モーダルシフト推進協議会」の場において引き続き検討して参ります。特に、モーダルシフト推進の具体策として、鹿児島本線門司駅の貨物拠点整備事業に対する国の助成を行っており、来年春の竣工を目指して本事業を推進して参ります。
