3 利用者保護規制(保険契約締結命令、運賃・料金及び運送約款の公示、不当な差別的取扱の禁止)
(1) 保険契約締結命令(§19の2)
・地方運輸局長等は、人の運送をする船舶運航事業者に対し、船客に対する損害賠償のための保険契約の締結を命ずることができます。
(2) 運賃・料金及び運送約款の公示(§19の6の2、§20の2)
・運送約款は、集団的取引を迅速かつ安全にするために、あらかじめ定型的に定められた契約の条項で、事業者がこれにより多数の個別の取引(すなわち運送行為)を行う約束事となるものです。省令で記載事項が定められており、地方運輸局等には「標準運送約款」が用意されています。
・運賃・料金及び運送約款は、運航する航路の営業所等への掲示及び船舶への備え付けが必要です。
(3) 不当な差別的取扱の禁止(§13、§19の6の3、§20の2)
・事業者は、特定の利用者に対し不当な差別的取扱を禁止されており、運送約款では運送の申込の順序により運送を引き受ける旨の記述が要求されます。
4 その他(報告の徴収、§24 1]、立入検査 §25 1]等)
・地方運輸局長等は、必要があると認めるときは、船舶運航事業者に対し、省令の定める様式によりその業務に関し報告を求めることができ、またその職員に事業に使用する船舶、事業場等に関し、検査・質問をさせることができます。
法に定める手続を行わない場合又は命令に従わない場合には、罰則が適用されます。
【改正法のQ&A】
Q A港で遊漁船業を行っていますが、今後、A港からB港まで人の運送を行うことを考えています。法改正後はどのような手続が必要ですか。
A 遊漁船業以外に事業として反復継続して人の運送を行う場合は、法改正前から海上運送法の適用の対象となっていますが、新たに安全規制・利用者保護規制が適用されますので、最寄りの運輸局、海運支局に御相談下さい。
Q 遊漁船業を行っていますが、今後、イルカウォッチングを行うことを考えています。法改正後はどのような手続が必要ですか。
A イルカウォッチング、ホエールウォッチングをする場合は、人の運送を行うものとして法改正前から海上運送法の適用の対象となっていますが、新たに安全規制・利用者保護規制が適用されますので、最寄りの運輸局、海運支局に御相談下さい。
Q 旅客定員12名以下の船舶で一定の航路に発着時刻を定めた事業を行いたいのですが、どのような届出をすればよいのですか。
A 法第19条の5の人の運送をする貨物定期航路事業の届出を事業開始の30日前までにして下さい。運航管理規程等の届出、運賃、料金、運送約款の公示、保険契約の締結などの手続きが必要となります。
Q 旅客定員13名以上の船舶で不定期航路事業をしていますが、法律の改正によりどの様な手続きが必要ですか。
A 一定の航路に就航して通船、遊覧以外の乗合運送を行う場合には、一般旅客定期航路事業となり許可が必要となります。
一定の航路に就航する貸切運送又は通船・遊覧に限った乗合運送を行う場合には、旅客不定期航路事業となり許可が必要となります。各区間毎に許可を取って下さい。(起点・終点が複数ある場合には、各区間ごとに許可が必要となります。)
Q 人の運送を行うため、損害賠償のための保険契約を締結する場合には、1人当たりの補償額を最低いくらにしたらよいのですか。
A 自動車損害賠償責任保険(自賠責)に準じて最低3000万円となります。今後、自賠責保険の補償額が変更になった場合には、それに応じてスライドさせることになります。
詳しくは、九州運輸局運航部輸送課(電話093-332-8083)又は最寄りの九州運輸局の海運支局へのお問い合わせ下さい。
また、インターネットでもご覧頂けます。
http://www.motnet.go.jp/KYUSYU/txt/unko/unkou01.htm