また、「交流人口」増加のための方策の一つとして考えられているのが広域連携の推進である。県際交流にとどまらず、西瀬戸圏、東九州軸、中九州軸等の交流圏や地域連携軸の形成、さらにはグローバルな視点から平成10年3月に閣議決定された新しい全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」に明記された太平洋新国土軸構想の推進が必要であると考えている。太平洋新国土軸構想は豊予海峡ルートなどの海峡等横断プロジェクトをはじめとする交通基盤の整備を図り西日本における広域経済圏の創造を目指すものであり、本県としても関係府県や経済団体と連携し、同構想の早期実現に向けて積極的に国等に働きかけている。
(2) シームレス交通の実現
「観交立県」大分を実現させるためには、交通の継ぎ目(seam)をなくし円滑に旅客が流れるように公共交通機関の利便性の確保を図り、マイカーと公共交通機関の調和のとれた発展を促進する必要があると考えている。特に県内の主要公共交通機関であるバスと鉄道の接続時間の短縮や運行ダイヤの改善などについて、交通事業者に働きかけるとともに、パークアンドライドのようなマイカーと公共交通機関の接続についても渋滞対策と合わせて検討していく。
(3) バリアフリー対策
人口の急速な高齢化が進展する中で、高齢者の積極的な社会参加等を支援し、活力のある21世紀を実現するためには鉄道、バス等の公共交通機関について高齢者が安心して、かつ、快適に利用できるサービスの提供が不可欠である。本県は全国平均以上の高齢化率となっており、大分都市圏もさることながら山間部、海岸部に至っては5人に2人は70歳以上という超高齢化状態にある。そこで、駅構内のエスカレーターの整備や低床バスの導入を交通事業者に呼びかけ、公共交通機関のバリアフリー化を促進している。現在、県内では大分駅、別府駅に乗用兼車椅子仕様エスカレーターが導入され、24両の低床バスと3両のリフト付バスが運行されている
(4) 環境対策
大分県では、平成10年3月に21世紀を展望した環境基本計画「豊の国エコプラン」を策定し、環境負荷の低減及び環境改善のための諸政策を総合的かつ計画的に推進することとした。そのための具体的な取り組みとして平成11年1月には、全国の都道府県に先駆けてISO14001の認証を取得し、県の事務事業の全てを環境に配慮したものにするとともに、「21世紀の生活優県おおいた」の実現を目指して行政、県民、事業者が一体となって環境問題への取り組みを推進している。このことが評価され、平成12年4月には、第9回地球環境大賞の優秀環境自治大賞を受賞したところである。
交通分野でも「豊の国エコプラン」に基づき、交通渋滞の緩和を目指すため鉄道の高速化、複線化と利便性の向上、バスの乗継ぎの改善、パークアンドライドシステムの導入促進等により公共交通機関の利用促進を図るなどエネルギー効率も視野に入れた交通施策を展開していくよう努めている。
(5) むすび
本県では、21世紀の大分県が希望と活力に満ちた地域となるよう、新世紀当初の大分県をデザインする新しい長期総合計画「おおいた新世紀創造計画」を平成11年12月に策定した。この計画では、生活者に優しく暮らしやすい地域社会、優れた自然・産業・文化をもった地域社会の構築に向けて「21世紀の生活優県新G・N・Sおおいたの創造」を基本目標と定め、生活優県の創造のために「文化立県」、「観交立県」、「環境立県」の3つを重要施策にし、人を育てる(Growth)・人が行き交う(Network)・人が安心できる(Security)おおいたづくりを推進している。
運輸・観光分野はこのうちNetwork、「観交立県」に深く関わっており、これまで述べてきたような現状を踏まえ交流拠点間、観交拠点間を円滑に移動できる交通体系の実現に積極的に取り組んでゆく。