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あと、JR九州で取り組んでいることについてですが、新しい駅整備だとか、改造とか新型車両については、かなり徹底してバリアフリー化をやっています。ただ、問題は既存の設備でどうやっていくかということで、いろいろ補助なんかもいただきながら、少しずつ進めているところです。そして、その方法にはいろいろあります。立派なエレベーターとかエスカレーターの場合もあります。また、階段に付属した、車椅子を運ぶための補助的な設備の場合もあります。ただ、ドイツでは、田舎でも田舎なりに、簡単に斜路をつくってほとんどの駅が車椅子を扱えるようになっている感じでしたね。発想をやわらかくして取り組む必要があると思います。やっぱり、常に100点満点で数少なくやるというよりも、まあ60点ぐらいでも前に進む姿勢で進めていかなければならないと思っています。

 

中西局長

さて会長はかねてから日韓の交流親善ということで、大きな働きをされてこられました。昨年の11月には、韓国から、大変重い勲章であります「大韓民国修交勲章興仁章」を受賞されておられます。現在、JR九州では博多港と釜山港の間に高速船を就航させておられます。これは、好調で、韓国経済の復旧や営業努力の成果と思いますが、昨年は確か20万人を突破されたと聞いております。

そういった韓国との交流、アジアとの交流は、九州のこれからを考える上で、人流あるいは物流の面で避けては通れない最重要課題だと思います。特に2002年にはワールドカップが大分でも開催されるわけであります。そういった面を合めて、アジアとの交流、アジアからの観光客の受け入れといった面で、少しお話いただければと思います。

 

石井会長

JR九州と韓国の交流に関するお話をしますと、実は分割民営化で九州の会社になってから、お隣りの鉄道会社というと、JR西日本、JR四国がありますが、韓国の鉄道もあるじゃないか、ということで交流が始まりまして、年を追う毎に深まってまいりました。九州運輸局でも韓国と交流をされておりますが、地方の機関では唯一国際交流を直接おやりになっているのではないでしょうか。

九州は古代からわが国におけるアジアの交流窓口としての使命をもった地域だと思います。ただ、韓国と交流して感じることがあります。韓国の人は日本のことをよく知っていますが、日本人は韓国のことをあまり勉強していませんね。韓国の南部地域は、世界的にみても近代的な工業地帯であり、九州も高度な工業集積が進展した地域であります。海峡を挟んではいるものの、両地域を合わせると2000万人超規模の経済圏が出現することとなりますから、両地域は一つの生活圏域であり、一つの観光ゾーンであるという発想をしていかなければと思いますね。九州と韓国はヨーロッパの隣国関係のように日常から下駄履きで行ったり来たり出来るような格別な交流をすべきだと思います。

そのようなことから、当社は韓国鉄道庁と交流を深めるなかで、平成3年に共同で博多港〜釜山港間の高速旅客船事業を始め、現在では2時間55分で毎日3往復しています。開業当初は、お客さんが少なくて四苦八苦しましたが、ここ3〜4年の間にお客さんが急激に増えています。

これは船の操船技術やメンテナンス技術の向上によって、就航率も上がり、お客様から信頼を得られたことが主な要因ではないかと考えています。

 

 

 

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