第6章 加計呂麻地域における総合交通ネットワーク整備の基本方向
第1節 加計呂麻地域の交通体系の現状と課題
1. 加計呂麻地域の概況
(1) 自然条件と交通事情
1] 加計呂麻地域は、いずれも300〜400m程度の高さの山岳地が連なり、急傾斜地となって海岸に迫っている。
本島(奄美大島を示す、以下本島)と加計呂麻島との間には静穏な大島海峡があり、海峡を挟む海岸線はリアス式海岸を形成し、各集落が全て海を望む位置にある。
また、水深の深い良湾が多く、特に加計呂麻側の薩川湾は天然の良港であり、かつては軍港に利用され、現在も台風時の船舶の避難港としての役割を果たしている。
なお、加計呂麻島は77km2の面積を有し、喜界島(56.8km2)より大きな島である。
2] 本島と加計呂麻島との交通は、町営定期船「フェリーかけろま」(194トン)が、瀬相へ1日4往復、生間へ1日3往復の計1日7往復就航しており、また、請島・与路島へは町営定期船「せとなみ」(52トン)が1日1往復(火曜日のみ古仁屋から島への片道便。)就航している。
このほか、古仁屋と、加計呂麻島や本島側の陸上交通の不便な地区との間に個人経営による定期航路が運航されている。
また、古仁屋と加計呂麻島などとの間には、いわゆる海上タクシーが運航され、地域住民や観光客等に利用されている。
(2) 人口動向
昭和35年には、町全体で23,798人、3つの島でも8,752人が居住していたが、昭和40年代からの高度経済成長期の若・中年層を主体とした本土への人口流出等により、大きく人口が減少している。平成7年の国勢調査では昭和35年に比べて町全体の人口は2分の1近くの12,017人に減少しており、3つの島においても、約4分の1の2,189人に減少している。
また、65歳以上の高齢者比率は、県平均(19.8%)を大きく上回る28.4%と高く、加計呂麻島など3つの島で46.8%と非常に高い割合となっている。