(4) アクセシビリティの向上
奄美大島への観光客のほとんどが本土からの客である。このため就航機の大型化、増便といった輸送能力の増強と輸送サービスの向上が図られることが必要である。
そして、この課題は、まさに本調査研究の課題とするところであり、その対応方向としては、この「アクセシビリティの向上」のみの追及ではなく、他の振興施策とからめて進めることが必要である。
加計呂麻島について考えると、奄美空港等の北部の拠点より、いかにスムースに瀬戸内町まで観光客を誘導するのかという島内でのアクセシビリティの向上ということが課題となる。島内のバス路線の輸送サービスの向上や幹線道路の改善充実等が今後とも求められる。
2. 振興策の進め方
奄美大島における観光振興等をプランのみに終わらせず、具体化させるために必要なことはまず、プランを行動に移していける実行部隊の組織化である。
我が国のあちらこちらでまちづくり、地域活性化が推進されているが、それらの活動を継続的に実施し、それなりの成果をあげている事例には、これらの活動を「考え、汗をかき、コーディネートする」といった役割を果たしている人材ないしは組織体が存在する。
行政だけでなく、農協、漁協、観光協会及び観光関連の民間企業等、幅広く連携を図り、奄美大島における観光振興を全島で一体となって取り組んでいけるような組織体の充実が必要である。
この組織が中心となって奄美大島の観光資源の発掘、商品化といった「商品開発(マーチャンダイシング)」と広告宣伝、誘致活動、マスコミ対策等の「営業・販売促進(マーケティング)」を推進していくこととする。また、この組織に、関連する組織(自治体、民間企業、まちづくり団体等)との連携と、それらの組織のコーディネートを行なえる機能を持たせることが必要である。
3. 観光振興の方策
観光振興の施策・事業については前述した組織体を中心に積極的に推進を図っていくこととする。
ここでは振興策等を進めるにあたって特に、重要と考えられる事項について整理した。
(1) 情報発信活動の推進
1] マスコミを利用したPR活動の推進
PR活動については、テレビ、雑誌等のマスコミを用いることはきわめて効果的である。
ある自治体では、自治体の知名度、イメージアップのためにその自治体をマスコミに取り上げさせるような仕掛けを行なうため、マスコミ担当スタッフを配置している。テレビ、新聞、旅行雑誌あるいは旅行代理店等へ積極的な情報提供を行なっていく。
「情報発信」と一口に言ってしまうが、情報となりうる様な活動がなされなくては、マス媒体は取り上げてくれないのである。