これまでにみてきた調査結果でも明白なように、「奄美大島」という観光地の認知度やイメージはある程度認知・理解され、観光地としてのポテンシャルは十分にあると評価する消費者が多いことも事実である。もっと観光情報や交通アクセスの情報を提供することによって、そのポテンシャルも高くなり、観光客の増加、リピーターの増加を促すものと考えられる。
もっとも多くあげられた「PRに関する意見」の中でも、「PR方法はテレビ放映がよい」という意見が多数みられ、その他では、「奄美大島がどこにあるのかは知っていたが、“交通費がいくら”、“船でどれくらい時間がかかるのか”などの情報が知りたい」や「沖縄に比べて情報が少なく、アクセスも乏しい感じがする。広報活動は旅行会社や代理店だけでなく、町役場自ら積極的な広報活動を行うことが必要である」などもあげられた。知名度やツアーの豊富さとしては、沖縄に軍配があがるとしても、それに負けない観光資源、人と人とのふれあい、帰宅後もよかったと思える観光ができる場所であることをもっと多くの人に理解してもらえる工夫は今後必須と言えるだろう。
また、障害者の方の意見で、「医療機関にかかっているけれども、ぜひ行ってみたいという意向はあるが、観光地における弱者への配慮がほしい。透析などの特別な医療行為を行える病院の整備なども観光情報として併記してほしい」というユニバーサルデザインへの対応を希望する意見もあげられている。
2番目に多くあげられた「自然に関する意見」では、特に「開発されていない自然が非常に魅力的である」という意見がそのほとんどを占め、“自然と観光客ニーズにマッチした適度な観光開発”をすすめていくことが非常に重要であることを奄美大島以外の住民自身が認めている。「荒らされていない自然があってこそ奄美大島を訪れる観光客が存在することを十分理解し、利便性や快適性ばかりを求めないでほしい」など、奄美大島は島外住民にとって自然保護に対する意識が非常に高い地域であることが再認識される結果である。
「交通に関する意見」では、「東京からのアクセス、時間を考えると海外旅行の方が魅力を感じる」や「島内の道路整備は“道の駅”などの無料で休憩できる場所や道路の景観に配慮した奄美らしさを感じさせるものが必要だ」など、交通アクセス以外の要素にも着目した意見もあげられている。また、観光地は女性が気軽に訪れられるような交通の便のよさが必要であることなど、「女性にうける観光地づくり」の視点から観光客誘致を行うことも観光活性化の1つの手法である。