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2] 乗下船時のバリアフリー化

平水区域のため乗船時の段差はほとんどなく、ターミナルとの高低差も十分な幅を確保したスロープで解消され、また、デッキ舗装により段差は全くない。今後のバリアフリー化の方向としては、現状の係員の介助の維持および優先乗船の実施が想定される。

 

■係員による介助の充実

一斉乗下船が可能となると、高齢者や身障者の乗降の妨げとなることが懸念される。高齢者や身障者に対して、優先的に乗下船を行ったり、専用の乗降口を設けるなどソフト面での対応が必要となる。

 

■手すり付き乗降施設の導入

新船では現状の出入口幅が層全体に拡大され、一度に多人数の乗船が可能となる。その際には、車いす使用者用の幅を確保した、手すり付きの乗降設備を設置することが望ましい。

 

■雨よけ施設の設置

高齢者や身障者、特に車いす使用者の安全かつ快適な乗下船を支援するため、雨よけ設備の設置が望ましい。

 

3] 船内のバリアフリー化

新船ではエレベーターが2層まで設置され、車いす利用者による遊歩甲板や展望室への移動が可能となる。また、各層にトイレが設置されるとともに、1層には身障者対応のトイレが設置されるなど、バリアフリー化に対応した設計が試みられている。今後のバリアフリー化の方向としては、検討されているエレベーターやトイレのバリアフリー化の促進、車いすスペースや基準適合客席の設置など高齢者・身障者を優先した客席の設置、また、視覚・聴覚障害者でも遊覧船を楽しむことができる情報提供の多様化があげられる。

 

■エレベーターやトイレ等のバリアフリー化促進

現在エレベータの設置や身障者対応のトイレの導入が検討されている。トイレは各層設置が検討されるなど、積極的なバリアフリー化が取り組まれており、今後も移動円滑化基準を満たすだけでなく、利用者の立場に立った一層のバリアフリー化対応が望まれる。

 

■バリアフリー化に対応した客席の充実

現在車いすスペースや基準適合客席は設置されていないが、新船ではバリアフリー化に対応した船として身障者等の利用増加も想定されるため、これらのバリアフリー化に対応した客席を積極的に設置することが望ましい。現在、新船の定員は282名が想定されており、移動円滑化基準を満たす基準適合客席数は11となる。出入口に近い1層、およびエレベーターでの乗降が可能となり遊歩甲板や展望室の設置される2層の両層で席の選択が可能となるように、両層に分けて基準以上の席数を設置することが望ましい。

 

 

 

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