5) サンゴ礁の価値
生態系の価値は絶対的な価値ではなく、人々の意思に基盤をおいた相対的な価値である。
経済的価値観だけを基盤とした意思決定は、環境を荒廃させる結果を導く。意思決定は人間がよりよく生きるための基本的な生態的生命支持条件の情報と理解が一体となっていなければならない。
このような価値観の基盤を形成するために世界の生態系の役割と自然の資産価値を試算したものを表2-3-2に示す。
これによると、サンゴ礁域の役割は「レクリェーション」、「撹乱の調節」、「食物生産」等が総額で約6,000ドル/haと評価されている。
なお、この値はWTP法によって得られた値を1994年時点における値として積算されたもので、調査の不十分な領域の改善や、環境価値意識の変化などによってさらに上昇する可能性がある点が指摘されている。
出典:
1. Carol M. Lalli, Timothy R. Parsons(1993)Biological Oceanography:an introduction, 関文武監訳、長沼毅訳(1996)生物海洋学入門、講談社サイエンティフィク
2. Fredrik Moberg, Carl Folke(1999)Ecological goods and services of coral reef ecosystems, Ecological Economics, 29:215-233
3. サンゴと共生する港湾整備マニュアル(案)
4. Robert Costanza et.al.(1997)The value of the world's ecosystem services and natural capital Nature. Vol.387.253-260.
5. Alasdair Edwards, Susan Clark(1992)Rehabilitation of coral reef flats using precast concrete. CONCRETE. Jajuary/February, 16-19.