(3) 日本に分布する海藻の位置付け(徳田・川嶋・大野・小河、1991)
日本は黒潮と親潮の影響を受け、亜熱帯性種から寒流系海藻が繁茂するとともに、潮位差の少ない日本海、周囲を陸に囲まれた瀬戸内海のように特徴的な植生を持つ。
黒潮に覆われている、南西諸島では亜熱帯性種が多くみられ、サボテングサ、ミズマタ、バロニア、キツネノオ、カサノリ、イワヅタなど緑藻が生育している。九州、四国から房総半島にいたる太平洋沿岸では、アラメ、カジメ、クロメ、ホンダワラ類が出現してくる。
親潮の影響を直接受ける、北海道東部の太平洋沿岸ではナガコンブ、ネコアシコンブなどのコンブ類が大群落を形成している他、ヒバマタ、エゾイシゲ、エゾツノマタ、カタワベニヒバなどが繁茂する。
北海道南部から三陸沿岸域では、暖流・寒流系両方の海藻が生育し、両海流の混合域を好むマコンブやチガイソが暖流系のワカメとともに生育する。
黒潮の分岐流である対馬暖流の影響を受ける日本海では、ホンダワラ類が豊富であり、春から夏にかけて繁茂し群落を形成する他、スギモク、フシスジモク、ツルアラメのように日本海特有の種も生育している。
瀬戸内海ではアラメ、カジメが少なく、クロメが多く生育するが、大型褐藻としてはアカモク、タマハハキモクなどのホンダワラ類のほうが優占している。
日本において岩礁性藻場を構成する種類として、海中林を構成するコンブ類、アラメ・カジメ・ワカメ類やガラモ場を構成するホンダワラ類等があるが、海藻のサイズはアメリカにおける大型褐藻のMacrocystisやNereocystisのサイズには達せず、むしろヨーロッパのoarweedsと同様である。