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1. 事業概要

 

1-1 事業の目的

 

地球全体の環境容量の有限性が改めて認識され、人間の活動と環境との調和を目指して積極的な取り組みが行われている。我が国の港湾においてもエコポート政策を策定し、良好な自然環境の保全・創造に取り組み、大きな技術上の成果を得てきている。

一方、米国等においては、開発事業に際してミチゲーションを実施しており、その中で湿地等を中心とした環境保全・創造技術が集積されている。他方、アジア地域では急激な開発で消滅した自然環境を回復する機運が高まっており、技術情報の入手・発展が求められている。

自然環境、特に海域環境の保全・創造は、限られた地域だけでなく地球全体の課題である。本事業は、それらを実現するための手段である環境創造技術の共有化や高度化に資することを目的とした。

 

1-2 事業の目標

 

日本の沿岸域において、藻場、干潟、サンゴ礁等は良好な海域環境を代表しており、これら場の保全・創造技術の確立が強く求められてきた。10数年前から、港湾や沿岸域で藻場、干潟、サンゴ礁等の人為的な造成に取り組んできており、ようやく成果を評価できる時期が到来した。また、現地における調査・分析手法の開発や実験施設を活用した研究により、科学的な解析成果もここ数年で格段と蓄積している。このような成果を体系的に整理・分析し、港湾工事・調査等で培われた海洋土木・環境技術と組み合わせて、世界で初めて「港湾構造物と海藻草類の共生マニュアル」、「港湾における干潟との共生マニュアル」、「サンゴ礁と共生する港湾整備マニュアル案」として編集し、昨年から今年にかけて当財団から発行したところである。

本事業においては、事業目的に対応して、日本と外国における環境問題の特性の差異を分析、整理し、日本の技術で世界に誇れる点を明確化した上で、当財団で発行した海域環境創造技術の英訳マニュアル(ガイドライン)を作成することを目標とした。

この成果は、諸外国の環境創造に係る研究機関・行政機関等の研究者や技術者など広く世界に発信することにより、海域環境創造技術の情報交流を一層拡張・深度化させ、もって我が国及びアジアをはじめとする世界各国の環境創造技術の共有化や更なる向上に役立たせようとするものである。

 

 

 

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