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2)各地の取り組み

(1)雪国植物園(新潟県長岡市)/<写真III-1〜2参照

・調査日:2000年7月25-26日

・参加者:廣井敏男、三上晃朗、早川直美

・応対者:大原久治氏

1] 概要

a. 開園にいたる経緯

長岡市西部の丘陵地にあり、工業団地予定地の一部として地域開発整備公団が所有していたが、計画の縮小により遊休地が発生した。その現状に目をつけた大原氏が当時の長岡市長などに要望した結果、長岡市が5億円で土地を購入し、里山の生態系を生かした植物園として保全されることになった。1987(昭和62)年には「雪国植物園同志会」というボランティア組織が発足して約150名のボランティアが登録され、翌1988年より本格的な整備作業が開始された。これとは別に長岡市が休耕田跡地の整備(トンボ池の造成、'木道の設置等)、駐車場およびトイレの建設を実施している。そして、1996(平成8年)年4月に雪国植物園が正式に開園した。

b. 面積:35ha

c. 地形および植生

集落の背後に広がる丘陵地形で、園内の最高点は岩野城跡の標高164m。植生はコナラやアカマツを主体とした二次林とスギ植林地(約40%)からなっている。園内で確認された植物は約700種を超えているが、すべて自生種ではなく、山野草会の人たちによって植栽された種も多い。

2] 園設立の基本的な考え方と理念

a. 設立の基本的な考え方

植物園は、市民共有の財産という視点にたち以下のことを骨子とする

・長岡市が土地を取得し、保有すること。

・造園は市民ボランティアによる労働奉仕と市民が拠出した資金で行うこと。

・完成後の運営管理は、会費および低額の入園料によって賄うこと。

b. 理念

・雪国低山帯(里山)における自然生態系の保護。

・高齢者をはじめとする市民の社会参加(ボランティア活動)の受け皿となる。

・自然生態観察園として、次世代を担う子どもたちへ情操教育の場を提供する。

・その結果として、新たなビジネス・雇用が創出され、観光資源、市民の憩いの場として地域社会を活性化する。

 

 

 

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