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2)平地林の野鳥

(1)はじめに

狭山丘陵で繁殖あるいは越冬する鳥類については、まとまった調査がいくつか行われているが、狭山丘陵周辺の東京都および埼玉県の平地林に生息する鳥類については調査報告が少ない。今回、これらの地域に生息する鳥類と生息環境とのかかわりを把握するため、越冬期に生息する鳥類の種数と個体数についての調査を行った。

(2)調査地および方法

調査地は、植生調査を実施した孤立林(図I-1-1)を対象とし、埼玉県側(入間市、所沢市)で17カ所、東京都側(小平市、東村山市、瑞穂町)で7カ所、計24カ所の平地林である。

調査期間は、2000年12月5日から12月26日までの間で、午前中を中心に時間は40分間とした。林の中に留まり、出現した鳥類の個体の種和名、個体数、出現時刻等を記録する点センサス法を用いた。確認の範囲はおおよそ半径50mで、上空を飛ぶ個体は樹冠部近くを飛んでいる場合のみ記録した。

(3)孤立林の鳥相

24ヵ所の点センサスで確認された鳥類は、全体で23種である(表I-1-2)。

ほとんどの区域でヒヨドリ、ハシブトガラス、シジュウカラなど、生息範囲が広く市街地でも普通にみられる、いわゆる都市鳥とよばれる種が多かった。

確認種数の最大は所沢新町(No.5)の9種で、全地点の平均種数は約5種であった。またカウントされた全個体数の最大は宮寺(No.14)の65で、平均個体数は約22であった。

全体的に確認種数が少ない傾向にあるが、これは今回の調査が鳥類の秋の渡りが終わり、越冬する種がまだ定着する前の端境期にあたっていたためであり、必ずしも平地林に生息する代表的な鳥種が示されているわけではない。

(4)丘陵の林と平地林の鳥相について

本来であれば、少なくとも春の移動期、繁殖期、秋の移動期、越冬期の年4回の調査が必要であるが、今回の調査結果および既存資料をもとに狭山丘陵と周辺の孤立した平地林における鳥相について若干の考察を行ってみたい。

狭山丘陵では、平成11年度に野山北、六道山公園でラインセンサス調査が行われている。そのなかで冬期の1月における雑木林内の調査例では、個体数が多い順にエナガ、ヤマガラ、コゲラ、アオジ、ハシブトガラス、シジュウカラ、ウソ、ヒヨドリ、メジロ、アカゲラ、ジョウビタキ、シロハラ、キクイタダキの記録がある。これに越冬期の狭山丘陵で一般的な種であるカケスも丘陵性の鳥としてとりあげ、今回の調査結果と比較検討を行う。

 

 

 

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