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始動電流と始動トルクが大略比例して得られるため、電源電圧降下への影響を少なくできる利点があるが将来的には適用範囲が限定されてくると考えられる。

(iii) 一次電圧制御

一次電圧制御は誘導電動機の発生トルクが一次端子電圧の2乗に比例するという特性を利用した速度制御方式である。

速度制御範囲があまり大きくないことと、及び運転効率が高くないという欠点はあるが低価格で連続速度制御を実現でき、クレーンの走行等に適用される。

(d) 電動機による速度制御方式の動向

以上各種速度制御方式についての概要を紹介したが、作業船に限らず省エネルギー、省力化が望まれていることはいうまでもないことである。

したがって、直流機を制御するシステムから、交流可変速システムの採用に移行する傾向にあるといえる。

交流可変速システムの採用に際しては、次の問題が解決、改善されることが必要である。

1] 価格の低減

2] 入力力率の向上

3] 高調波による通信機器や動力機器への影響対策

4] 高調波含有によるトルク脈動対策

5] 瞬時停電対策

これらの問題の内、1]項を除いては各個に対策を行うことは可能であり、また、現状でも実施されているといえる。

価格の低減は、素子の大容量化、GTOサイリスタやトランジスタの性能向上と応用技術の開発によって実現されていくことが予測される。

また、上記のように単体での低減対策とは別に、作業船を一つのプラントと考えたトータルでの低減策も導入されていくものと考えられる。

例えば、各制御対象に対して、デジタル制御を適用することで計算機能制御を導入、集中監視、制御によって制御部品の削減、船内最適制御の実現による高効率、省エネルギー運転、さらにシステム利用率向上によるトータルでの価格低減及び故障診断機能を持たせることによる信頼性の向上と省力化による価格低減が期待される。

(3) 油圧モータによる速度制御

油圧モータ及び油圧ポンプにはそれぞれ定容量のものと可変容量のものがある。

可変モータ(MV)の速度制御はモータの回転当たり所要油量を変えて行い、定容量モータ(MF)では流量を変えて行う。代表的なものは定容量モータ(MF)と可変容量ポンプ(PV)を組み合わせたものでポンプ吐出量を変えて速度制御を行う。

モータの回転数は流量に、トルクは油圧に、出力は流量×油圧に比例する。負荷に逆比例して速度を自動制御するいわゆる定出力特性を付与することができる。

 

 

 

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