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(2) シリンダカバー

爆発圧力は実績のあるレベルに抑えていますが、シリンダカバーの高さを増し、剛性をあげ、肉厚の検討により側壁を補強するとともに燃焼面の変形を小さくするための斜め棚も導入しています。カバーボルトは吸・排気通路の確保、分解及び組立作業を容易とするため6本に減らしていますが、パッキン部からのガスもれに対し、充分考慮された構造になっています。

吸・排気弁は2弁式とし、保守・点検を容易にしています。

(3) クランク軸、軸受

強度的に優れたR-R鍛造のクランク軸を採用し、材質は従来どおり実績のあるSF640としています。ストロークの変更により新しい金型設計としています。

主軸受及びクランクピン軸受のメタルは耐圧性、耐久性のあるアルミメタルを用い、薄肉完成メタルとしています。

(4) ピストン、連接棒

鍛鋼製クラウンと鋳鉄製スカートの組立式ピストンでクラウンは頂部形状の変更、肉厚の検討を行い、ハイトップランドのクラウン及び特殊リングの採用により燃焼室部品の温度の均一化と低下をはかるとともにピストンリングの本数も減らしています。スカートはLH34L形と共通です。

クラウン取付ボルトは従来のまわり止め割ピン式からハードロック式ナットに変更し、メンテナンスを容易にしています。連接棒は長くするとともに座屈に対する強度を考慮し太くしています。

(5) シリンダライナ

ボアークーリングライナを採用するとともに本機には低速機関では初めてのLセーブリングを設けています。これにより潤滑油消費をコントロールするとともにシリンダライナ内面の摩耗の減少をはかっています。

ストロークの変更によりシリンダライナの長さも長くなりますが、中間支え方式を採用し、中央及び下部の2カ所でシリンダライナを支え、振動の軽減及び“O”リング部からの水もれに対する充分な対策を行っています。ライナ内面はタフトライド処理を標準とし、シリンダ注油を行っています。

(6) 動弁装置

衝棒駆動に代り油圧動弁を採用しています。これにより吸・排気弁の確実な作動のほか、部品及び配管の減少、低騒音化、さらに吸・排気弁バネからの油の飛散なども防ぐことができます。

(7) 燃料噴射ポンプ、カム軸

燃料ポンプは高圧形ポンプを使用し、プランジャスピードを上げて高圧噴射を行うとともに噴射管を短くして噴射特性を改善しています。

燃料カムは適正な噴射タイミングと最適なプロフィルを採用し、高圧噴射によるカム軸の揺れを少なくするため、カム軸径を太くしています。

 

 

 

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