1) ハイスキュープロペラの羽根強度
ハイスキュープロペラの場合、羽根形状が通常型プロペラと大幅に異なるためプロペラ羽根には曲げによる力およびねじりによる力が複雑に作用する応力分布を呈する。通常型プロペラは、羽根根元部に最大応力が発生するが、ハイスキュープロペラの場合、最大応力の発生個所は、羽根根元だけではなく、羽根先端に近い後縁部にも発生する。3・38図に通常型プロペラの場合の応力分布を示す。また3・39図に可変ピッチプロペラのスキュー角度40度の場合の応力分布および3・40図に固定ピッチプロペラのスキュー角度40度の場合の応力分布の計算結果の一例を示す。
2) ハイスキュープロペラの特長
1] 普通翼プロペラと比較して、推進性能、操船性能を損なうことなく、船体振動を大幅に低減できる。
2] ベアリングフォースやサーフェイスフォースが低減できる。それほど極端なスキューをつけなくとも、ベアリングフォースで、15〜20%、サーフェイスフォースで、30〜40%の減少効果が得られる。
3] キャビテーション性能が優れている。
4] プロペラから生ずるノイズが減少する。
5] 低回転・大直径プロペラの採用
船体振動軽減効果により、在来船での船体振動が許容できるならば、振動レベルが同じになるまで、プロペラチップクリアランスを小さくして、より低回転、大直径プロペラの採用が可能となり、プロペラ効率を上げることができる。