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キー付きプロペラの場合、主機関の高出力や1回転中のトルク変動が大きい船舶ではプロペラキー溝部分の応力集中による大きな応力が作用し、プロペラ軸の船首側のキーみぞなどにクラックが発生することがある。これらの損傷に対する防止策とともに、プロペラの取付けおよび取外しの容易な構造のプロペラキーなし(キーレス)によるプロペラのプロペラ軸への装着が考えられたのが、キーレスプロペラである。

 

2.3 ハイスキュープロペラ

ハイスキュープロペラは3・37図に示すようにスキュー角が大きいプロペラを言う。ハイスキュープロペラの形状にはバランススキュー型とバックワードスキュー型がある。

船の主機関の高出力化に伴って、船尾振動が増大し居住性の改善の対策の一環として、日本では昭和55年頃からハイスキュープロペラが採用された。ハイスキュープロペラは船尾振動の原因となるプロペラ起振力を軽減するのが主目的である。ハイスキュープロペラは船尾の不均一な流れに対して、プロペラの感度を弱め、プロペラ自身で、その発生する変動力を減少させようとするものである。ハイスキュープロペラは相当大きなスキューバックをもつ特異な形状をしたプロペラである。

プロペラの起振力は、船体に伝達される道順により二つの成分に分けることができる。一つは直接的にプロペラ軸を介して船尾管軸受から船体に伝わるベアリングフォースと呼ばれるもので、もう一つは間接的にプロペラの作動によって水圧変動の形で船体および舵の表面を通じて船体に伝わるサーフェスフォースと呼ばれる成分である。

ハイスキュープロペラの特長として、サーフェイスフォースやベアリングフォースが軽減できる。また通常型プロペラに比較して推進性能は前進時において、スキュー角にはほとんど影響されないし、プロペラのキャビテーション性能にも優れているので、高速船のプロペラとしても向いている。

 

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3・37図 スキュー型プロペラと普通プロペラ

 

 

 

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