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(3) クラッチの使用上の注意事項

クラッチで問題となるのは、スリップと焼き付きである。正常な運転状態ではスリップの心配はないが油圧低下のまま連続使用した場合や過負荷状態で使用すると先ずスリップが発生し、これに気付かず運転を続けると、摩擦板やスチールプレートに焼き付きが発生し、嵌脱が不良となりスリップするほか連れ廻りの原因となる。なお、焼き付きが発生する前には油温が異常に高くなるので油温に注意することが必要である。

クラッチが何らかの原因でスリップしたり、或いは作動しないときには、前進用のクラッチには緊急ボルトが装備されているので、このボルトを締め付けることにより、応急的にクラッチを結合することが出来る。

不具合が発生したときには、機関を停止し、2・213図に示すような付属されている工具でクランク軸をターニングしながら緊急ボルトを均等に締め付けてクラッチを結合する。緊急ボルトは港まで自力で帰るための応急処置である。緊急ボルト使用時は、クラッチは前進側と直結となっており、中立、後進の操作は出来ないので、機関始動時及び着岸時には特に注意が必要である。なお、運転は決められた回転数以下で行うこと。

 

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2・213図 緊急ボルトの締付図

 

 

 

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