(イ) ユニオン式クラッチ
小形機関に広く用いられてきたクラッチで、2・202図に示すような部品で構成され、ハウジングに拡張環を固定すると、推力軸はクランク軸と同じ方向に回転し、ハウジングを制動帯で固定すると推力軸は、クランク軸と反対方向に回転する。
なお、この拡張環式のユニオンクラッチは、伝達トルクが大きくなるとスリップ等の問題が出てくる。2・204図に示すクラッチは、拡張環の代わりに多板式の摩擦板を使用して、伝達トルクを大きくした摩擦板式ユニオンクラッチである。このクラッチは、クラッチドラムの中に、内側と外側にスプライン状の溝を切った摩擦板を交互に並べ、テコ式の締め付け金具により締め付けることによりクラッチドラムの回転を推力軸に伝達する構造となっている。又ブレーキバンドを締め付けることにより、拡張環式ユニオンクラッチ同様推力軸は反転する。