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シリンダ内のピストンの行程は、そのエネルギ利用のためには、シリンダ内のガスが大気圧まで膨張するに十分な長さをもつことが理想であるが、これには無限大のピストン行程を要することになる。実際の機関では、ピストンが下死点に達してもシリンダ内の圧力は大気圧まで膨張出来ず、0.2〜0.3MPa(2〜3kgf/cm2)を保っている。したがって、下死点近くで排気弁が開くと、高温の圧力ガスは排気管内に急激に膨張、排出される。この排出エネルギをブローダウンエネルギと呼ぶ。

排気管内のガスは、その末端にあるタービンノズルで絞られ、更に速度を増加して、タービンの翼にあたり、これを回転駆動する。これと同軸にコンプレッサがあり、空気を吸込んで圧縮して機関へ送る。

これは排気ガスのエネルギの一部が、圧縮空気の形で機関に回収されることになる。この量は燃料熱量の7〜10%にあたる。このように過給によって、機関の出力を増加するのみならず、その捨てられていた熱量を回収して機関の熱効率を向上させることが出来る。

 

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2・197図 燃料の全エネルギの交換

 

(4) 排気タービン過給機の特徴

(a) 特長

1] 機関の小形軽量化ができる

同一出力の無過給機関に比べて過給機関は、軽量小形となり機関室が小さくでき、船の積載量が増加できる。同重量の機関では過給により出力が増加し船速が増す。

2] 馬力あたりの製作費が安い

機関が小形軽量化できるため、製作費も安くなる。

3] 機械効率の向上ができる

 

 

 

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